─海へ─
『今さ、海に居るんだ。』
深夜一時。
たった一人の親友から来た、一件のLINE。
それだけで僕は、察してしまった。
今、親友は死んでしまおうとしていることを。
親友は死にたかった。
いじめられて、痛くて、辛くて、泣いて。
消えてしまいそうな、震えている、悲しい声で。
『辛いよ。消えてしまいたいよ。』と話す。
でも僕は、それを静かに聞いているだけ。止めたりしない。
何故なら、親友の辛さが、全てではないがわかるから。
『死なないで』や『生きろ』が辛いことを、知っているから。
本心では止めたかった。消えないでほしいって。
でも止めたら、君が苦しいだけだから。
せめて別れだけでも、言わせてほしいから。
僕は、君が居る海へと走る。
部屋に残るスマホ。そこにはLINEの画面。
僕からの『待って』と言う言葉。
そして、今送られてきた『ごめんね。』の文字。
─裏返し─
いつからだろう。
君の愛を裏返したら、何があるのか考え始めたのは。
私と同じで、愛の裏には『好き』があるのか考えたのは。
いつもの会話に混じる、『好き』が本物なのか。
「ねぇ、私のこと好き?」
『そう言うのウザいって前言ったじゃん。やめて。』
「…ごめん。」
『愛してる』以前に『好き』さえも言わなくなってしまったのは。
きっと、好きを裏返して「愛してる」があるのは私だけなんだろうな。
君にはもう、好きを裏返しても何も残らないんだろうな。
─鳥のように─
何故邪魔をするんだ。
ただ私は、鳥のように飛んでしまいたいだけなんだ。
鳥のように、自由になりたいんだ。
もう、何にも縛られず、自由に…。
─────え?
『生きてくれ』だって?
君のエゴを押し付けないでくれよ。
君の人生を知っている訳ではないが、
死にたくなることが君にもあるだろう?
─────それを乗り越えれば、か。
そんな綺麗事だけでは生きれないんだよ。
私には、死を耐えた先に何があるのか、
自分が楽しそうに、
幸せそうに暮らしているのが、
想像できないのだよ。
─────『それでも』なんて言うなよ。
何も知らない君に、私の辛さが理解出来るわけがない。
だから、もう放っておいてくれ。
…これ以上、君を嫌いになりたくないんだ。
最後のお願いだと思って、聞いておくれ。
私の好きな、優しい君で居ておくれ。
─さよならを言う前に─
伝えたかったこと。
君が居なくなってしまう前に。
君を抱き締めていたこの手が冷えてしまう前に。
君に伝えた愛が薄れてしまう前に。
君が笑って、
『ごめんね』って、
『大好きだよ』って、
『さよなら』って言う前に。
もう一度君が居ることを理解したくて。
抱き締めて、涙を流して、何でって悔やんで。
病気を恨んで、行き場のない怒りを押し殺して。
忘れないでって、無力な自分が哀れで。
でもそんな感情が渦巻く中、必ず忘れないで居たのが愛情だった。
君が泣くことを我慢して、無理して笑って、
謝って、愛を伝えて、別れを言う前に。
これだけは伝えたい。
『ずっと愛してる。』
─蝶よ花よ─
この世界は美しい。
とても美しくて、綺麗で、苦しい。
楽しく幸せに暮らしている人が居れば、
辛く悲しい暮らしを送っている人も居る。
有名になったあのアイドルの下には、
一緒の立場だったライバルが居る。
世界に注目される程、良いことをしたあの人の下には、
沢山の努力と、思い出がある。
良いことの下には、原因と言う名の悪行がある。
そんな悲しい世界にある、美しいもの達。
その下にも、色々なものが、思い出があるのだろう。
美しいもの達よ、美しい花よ、美しい蝶よ。
努力が認められなくても、美しいものは美しい。
この世の中で『諦める』なんてことをせず、
世界を代表するように。
色々な悪行を隠すように。
いつまでも美しく、綺麗なままで居て。
皆さん、忙しくてお話を投稿出来ませんでした。
申し訳ありません。
これからは少しづつ投稿スペース上げていきます。
ご理解よろしくお願いします。
以上、作者より