─海へ─
『今さ、海に居るんだ。』
深夜一時。
たった一人の親友から来た、一件のLINE。
それだけで僕は、察してしまった。
今、親友は死んでしまおうとしていることを。
親友は死にたかった。
いじめられて、痛くて、辛くて、泣いて。
消えてしまいそうな、震えている、悲しい声で。
『辛いよ。消えてしまいたいよ。』と話す。
でも僕は、それを静かに聞いているだけ。止めたりしない。
何故なら、親友の辛さが、全てではないがわかるから。
『死なないで』や『生きろ』が辛いことを、知っているから。
本心では止めたかった。消えないでほしいって。
でも止めたら、君が苦しいだけだから。
せめて別れだけでも、言わせてほしいから。
僕は、君が居る海へと走る。
部屋に残るスマホ。そこにはLINEの画面。
僕からの『待って』と言う言葉。
そして、今送られてきた『ごめんね。』の文字。
8/24/2023, 7:25:12 AM