沢山ある
海外に行きたい
あの空気を感じたい
一つの物語を書き終えたい
あの頃みたいに
一つのことに
何も不安なく情熱をもやしたい
そしてもう一度
君と歩きたい
あの街を
♯やりたいこと
君の口ぐせ
なにかあるたびに
「サイアク」
とはきすてるように呟く
そのとがらせたクチビルが可愛くて
わざと困らせることをした
いつからか
その言い方も
とがらせたクチビルも
イライラするようになり
僕たちの間には
冷たく風が吹くようになった
どちらかが言い出したら
僕たちは終わる
僕から踏み出した一歩を
君は待っていたかのように
「最悪」
と笑みを浮かべた
そこに子どもみたいにとがらせた唇はなく
ほっとしたような
優しい笑みと涙目
僕たちはとがらせたクチビルを捨て
大人になった
♯最悪
空気が何層にも重なったみたいだ
ギリギリ見えそうなほどの水分の粒
かきわけるように
重い空気のなかを進む
じわりと肌が湿り
息が苦しくなる
ぼくはうんざりする
ふと
道端に目をやると
生き生きと色づく紫陽花
たまに見せる晴れ間の虹
重いだけじゃない
気持ちは晴れる色合いもある
だけど
重い空気はやっぱり苦手だ
♯梅雨
「ごめんね」
そんな一言で
わたしたちの5年間は締めくくられた
わたしの思いは
宙ぶらりんで
言葉が出てこなかった
ありきたりの
ごめんねで済んだら警察なんていらない
という言葉が
頭の中をぐるぐるかけめぐり
それはぽろりと涙になってこぼれる
涙を見ても
慌てない姿に
本当の終わりを感じて
ますます何も言えずに
すがりつきも出来ずに
そっとその場を離れた
思い出したら
嫌味の一言も
張り手の一つも
すれば良かった
都合のいい別れ方
そんなの
相手の都合がいいだけ
いつか出会ったら
キラキラな姿を見せて
嫌味を沢山言ってやる
♯「ごめんね」
夏になっても
半袖を着ないキミ
わざと
長袖をまくりあげて
過ごす
第2ボタンまで開いて
あざとさ満開
なのに
ふいに出会った街中で
半袖を着ていて
それがもっと新鮮で
鮮やかに目に焼き付いてはなれない
もう
キミしか見えない
♯半袖