藤直

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君の口ぐせ
なにかあるたびに
「サイアク」
とはきすてるように呟く

そのとがらせたクチビルが可愛くて
わざと困らせることをした

いつからか
その言い方も
とがらせたクチビルも
イライラするようになり

僕たちの間には
冷たく風が吹くようになった

どちらかが言い出したら
僕たちは終わる

僕から踏み出した一歩を
君は待っていたかのように
「最悪」
と笑みを浮かべた

そこに子どもみたいにとがらせた唇はなく
ほっとしたような
優しい笑みと涙目

僕たちはとがらせたクチビルを捨て
大人になった



♯最悪

6/6/2023, 12:46:36 PM