遠い日の記憶…
りんちゃんはいい子過ぎるからねぇ…優しいのはいいけど、きっとこの先辛いこともある。
そんな時はね、この言葉を思い出すんだよ、
《恐れた時こそ、前に出ろ》
きっと 、助けてくれるよぉ、
数年前に亡くなってしまった、おばあちゃんの言葉をを思い出す。
カツカツとハイヒールの音を鳴らし、このパワハラ課長の前にやってきた。大丈夫、大丈夫、恐れた時こそ、前に出ろ、課長にギャフンと言わせてやるんだ
『あの!!!これ、今日の分のノルマです!!それと、今日限りで、退職させていただきます、私はまだこの先未来ある、若者なので、就職先も沢山あります!!課長と違って!!これまでの課長のパワハラは全て録音してあるので、せいぜい、刑務所でお幸せに!!それでは、さようなら!!』
バタンッ!!
『っ~~~…きんっちょうしたぁぁぁ、大丈夫、あとはこれを警察に届けて、…これで、これでやっと自由だぁぁ!!!これで、あの会社の先輩たちも楽になるだろう、良かった、良かった、…ありがとう、おばあちゃん、笑』
記憶を思い出すのは嫌いだったけど、思い出せてよかった、これで、自由になれたのだから、安いもんだ。
『…さ、就活しよ!』
空を見上げて心に浮かんだこと 、
「あ、見て見て、あの雲、アイスクリーム見たい!!笑」
と君は空を見上げて、笑ってそう言った事をふと思い出した 。
『あぁ…僕、まだ君と生きていたかったなぁ…泣』
そう 、彼女は先月 、通り魔に刺され亡くなった。
今日は彼女の墓参りに来ていた 。彼女の両親も来ていいと快く言ってくれた。
彼女のお墓の前にしゃがみ、手を合わせる 。
『… 君が亡くなってから、もう1ヶ月もたったよ、君の両親も君がいないのに僕を家族のように接してくれる。僕の家族とは大違いだよ。…僕、まだ君とやりたこと沢山あったんだよ。プロポーズだって、するつもりだったのに 。…あぁ 、もう一度笑ってくれないかな …苦笑』
『…じゃあ、僕はもう行くよ。また来るね、愛してる』
《来てくれてありがとう 、私も愛してるわ》
『っ…』
『あぁ、っ、天国で僕のこと見守っててくれよな!泣』
僕は、空を仰ぎ、そう言った
僕はキミを忘れないよ 。空を見上げる度に思い出すから 。
終わりにしよう 。
「え … ?」
久しぶりのデート 、何事かと思えば 、急にそんなことを言われた
「なん、で 、?な、何が悪かった?何がダメだった?言ってくれたらなんでも直すよ …!!」
違う 、君は完璧な人だった 、俺に尽くしてくれた 、嬉しかった
「じゃあ、…なんで、?」
…他に好きな人が出来たんだ 。すまない 、別れてくれ 。
「っ…」
「もういい!!わかった!!別れる!!じゃあね!!」
… ごめん 。
その謝罪は彼女に届くことなく儚く消えていった …
と 、話したのは 、彼が亡くなる 、2日前 。
あの時 、もっと聞いてればよかった 、後悔ばかり
彼の遺書には 、こう書かれていた 。
『 ごめんね 、こんな別れ方しかできなくて …
君の笑った顔も 、君の声も 、いつも遅くまで待っててくれるところも 、掃除が少し苦手なところも 、全部全部大好きでした 。』
「… そう、言うなら、もっと 、頼ってよぉ …( 泣 」
「あぁ、 私も彼の所に逝きたい 、 あぁ 、終わりにしたい 。」
手を取り合って 、僕らはこの地獄から飛び出した 。
しゅわしゅわと炭酸が抜ける音 、蝉がなく音 、市民プールまでの道を歩く小学生の声 。
そんな夏真っ只中 、僕と彼女は 、死ぬまでにやりたいこと100を着々とクリアしていくのだった 。
そう 、夏が終わる頃に死ぬ為に …
僕らは今日も自転車で街を駆け抜ける 。