よしだ

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5/5/2024, 4:22:17 AM

ぼんやりと寝台の上で天井を見上げている
あまりにもする事がないから
自然と意識が感覚に傾く

痛み
眠気
だるさ
重さ

布団の重み
枕の硬さ
指先が冷たい

アルコールの匂い
埃の匂い
太陽のかおり

眩しいなぁ

エアコンの動く音
誰かの足音
鳥の声と風の音
子どもたちの楽しそうな笑い声
犬が吠えている

上下する胸
呼吸の音
とくり、とくりと心臓の動く音

いきている


「耳を澄ますと」

5/3/2024, 8:06:12 PM

薔薇の生垣に隠れて
密かに静かに
しかし情熱を込めて

二人の恋は
許されないから

二人は幼く
力がないから

こうしてひっそり
つかの間の逢瀬をするのだ
そばにいられない時のぶんまで

離れがたいと
二人はきっと
比翼連理なのだと信じて
ままならぬこの世を呪う

秋の昼下がり
薔薇の香りが胸に染みる
二人だけの秘密だと笑いあって
この恋は永遠なのだと信じたくて
時よ止まれと、心が叫ぶ

鐘の音が鳴った
ああ、もう時間なのだ

別れを惜しんで
抱き合って

そして

ふたりはそっと
くちづけをした

蜂蜜のように甘くて
初めて知った煙草の味のように苦く
青い草花と、秋の香りの深い

柔らかく心に突き刺さる
恋の味、だった

「二人だけの秘密」

5/2/2024, 7:08:00 PM

いつか、手を離す時が来るなら
いつか、突き放す日が来るなら
いつか、いつか血みどろになりながら
向かい合い、泣く日が来るなら

優しくしないでほしかったなぁ
愛さないでほしかったなぁ

だって、優しくされたら
不器用でも愛があることを知っていたら
嫌いになれないじゃないか

どうして、右手で愛を示しながら
左手で人を刺せるのだろう
どうして、脆すぎるほど優しいのに
あなたに触れると傷つくのだろう

どうして、私に縋り付くその手で
差し伸べる私の手を振り払うのだろう
どうして、愛しているくせに
まともな愛をくれなかったのだろう

愛されたから、
今も愛されていると確信できるから

憎みたいのに
愛しくて
恨みたいのに
哀れんで
嫌いたいのに
大好きで

罵りたいのに、
本当は、家族のままでいたかった

私の心、ミキサーにかけたみたいに
ぐっちゃぐちゃだ
どろどろの怨嗟の声と
寂しい子どもの泣き声が
ずっとずっと鳴り止まない

どうしたらよかったんだろう、と
考えて考えて、人に聞きもして
でも結局、どうにもならなかったと
その答えばかり

そして今も夢に見る
あなたの夢を
まことの悪夢であるように

あなたがこの世を去る日を恐れている
私の心があらわになる日を

その日はきっと遠くない
私がその前に逝かなければ

最後に貰ったネックレス
仔猫のペンダントトップのネックレス
私の趣味じゃない、でも可愛らしいネックレス

見る度思い出す度にあなたの姿が脳裏に浮かぶ
どうしようもない感情が湧くのに捨てられない

ああ本当に、心の底から憎めたら良かったのに


「優しくしないで」

5/1/2024, 3:33:36 PM

バチバチと光る
視界はカラフル
ひかりが消えた
意識が落ちゆく
刹那光の万華鏡

「カラフル」

4/30/2024, 2:02:56 PM

楽園へゆきたい
こんな地獄
抜け出して

肉を脱ぎ捨て
楽園へ

ああだけど
私の足をぎゅうと握って
離してくれないあなたがいる

ゆき先が違うから
一緒には行けないの

共にあるには
ここにいるしか道はないの

あなたをおいてゆけない
私が言うの

本当にいいの、と

楽園へゆきたい
楽園に行きたい

ああ、
ここを楽園だと思えたら良かったのに

「楽園」

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