善悪というものは
その時代その場所その理由で異なるもので
例えば殺人とて
ただ徒に殺すのは悪だけれども
罪人を処刑するのは善であると
そういう人、土地、国もある
ただまあ善悪という概念が時により
うつりかわる曖昧なものであるからといって
それが全くの無意味で
無価値なものであるかといえば
それは違うだろう
善悪というものは
人間が繁栄・生存する上で必要として
発明された道具であるから
そりゃあその時その時使い易いように
作り直されるのは当然といえば当然で
ならば生きていく上で
とくに注目すべきだと私が思うのは
製造者と、使用者だ
大方、暫くの間雛形を作るのは暇人だ
要するに哲学ができる人と
生存の為の行いを他人がやってしまう人
人を使う人
そしてその雛形を大多数の民が
「それで良し」「いたし方なし」
とすれば完成だ
しかしそれもそろそろ変わるらしい
或いは戻ると言った方が正しいのか
兎にも角にも善悪とはなにか
考える知恵と暇を持てる人が増えたということだろう
***
尚、上記の「善悪」は人の善悪であり
神の「善悪」ではないものとする
「善悪」
願わくば
安らかな眠りが
毎夜訪れますように
悪夢が除かれますように
安寧を夢見続けられますように
美しい夜でありますように
「流れ星に願いを」
ルールを守る人
ルールを破る人
ルールに守られる人
ルールに傷つけられる人
ルールがあることに安心する人
ルールがあることに不満を持つ人
ルールを盲目的に信じる人
ルールを懐疑的な目で見る人
ルールを守らない他人に怒る人
ルールを守らない他人に無関心な人
ルールを作る人
ルールを変える人
ルールを破棄する人
ルールを都合よく解釈する人
ルールをそのままの意味で捉える人
ルールは決して人だけの特権ではないけれど
これほどまでに多彩に
そして生命としてのあり方を歪めるまでに
「ルール」を愛する生き物はいないだろう
良くも悪くも、私達は「ルール」の虜だ
虜だから、まだあんまり上手な付き合い方が
出来ていないのかもしれない
あったらなんだかんだ文句垂れるけど
なかったらなかったで不安になるなんて
なんと不思議な人の心
鎖は程々に
道理至極であるように
愛と優しさをひとさじずつ
それくらいのルールがいい
「ルール」
どうして、この世の中には
恋のうたであふれているの?と
母に尋ねたことがある
私は恋知らぬ童女で
そのくせ世の真理を悟ったように
物知り顔で話す背伸びしたお子様だった
恋なんて、
発情期をオブラートで何重にも包んで
素敵なお砂糖菓子みたいに言っただけの
ただの繁殖の為の機能でしょ
なんて、恋をしたこともないくせに
知ったふうに
母はそんな私に一言だけ
「花だから」
と言った
訳が分からなくて
もっとちゃんと説明してよなんて詰って
それで母はふっと息をついて
「人生の花だから。恋ってのは」
そう言った
そうだ、それを聞いて私は
恋とはどんなものかしらと
本当の意味で興味を持ったのだ
私は愛を知っている
でも、恋は知らない
聞くところによると
恋っていうものは
多幸感と
苦しさと
見える景色の色彩の変わることと
人をまるっきり変える力と
嵐のように心を荒らす激しさと
時に命を育み
時に命を殺す
とんでもない力を持つナニカらしい
ちょっとそれ、それだけ聞くと
怪しい薬かなんかじゃないの?
とか思ったけど違うらしい
恐ろしいと思った
でもそれ以上に
そんなにも人を狂わせる
「恋」というものを味わってみたいと思った
私は今、一応大人と言われる年になって
それでも心模様は今日も相変わらず
恋知らぬまっさらな無地の青だ
世間で聞くようになった
恋をしない人なのかもしれないとか
たまに思うけど、でも、
己を未だ恋知らぬ乙女なんだと信じて
いつか
その嵐が心模様を変える日が来ることを
少し楽しみに待っている
「今日の心模様」
たとえ、これ迄の私の道程が
目指した最果てが
全て全て間違いだったのだとしても
それでもかまわない
求めたものが手に入らなくても
求めたものが蓋を開けてみたら
イミテーションの瓦落多だったとしても
旅の中、その歩みが
そのさなかに失ったものが
全て全て、間違いへと突き進む為の
無意味な犠牲だったのだとしても
私は、それでもかまわない
だって、これは私の愛だ
この歩みも、求める心も、目指す旅も
全ては私の愛に始まり、
そして私の愛に終わるものだから
それならば、私は私の愛を
誰が否定しようとも
これ迄の道程は間違いでしたと認めても
私の愛だけは、私は肯定しなくては
どうしてそれが愛といえようか
私は声高らかに
愛を歌おう
この愛を抱けることの
幸福を、喜びを
私は歌おう
そうして、私は歌いながら
一人、盲た眼で歩もう
道無き道を、その先に答えがあると信じて
その果てが、破滅に繋がっているのだとしても
歩むことだけはやめてやらない
私の愛の歌は
私が斃れたあとでさえ
きっと鳴りやまない
さあ、そろそろゆこうか
それがたとえ、間違いだったのだとしても
行き着く先が破滅しかないのだとしても
愛を歌えよ
歩み続けよ
その時が訪れる迄
「たとえ間違いだったとしても」