「愛言葉」
私が何度もなんども
メッセージを書いては消し
悩みながら
あなたを温めてくれる
やわらかいことばを選ぶように
あなたもおそらく
メッセージを書いては消し
考えながら
わたしを笑顔にする
あたたかなことばを選んで贈る
文字をみただけで
どんな速さで読んだら良いか
わかってしまう
文字と文字の間に覗く
あなたの顔がわかってしまう
あなたにもきっと
私が見えているから
これはわたしたちの「愛言葉」
「愛言葉」
「行かないで」
あなたは
行かないで
とは言わなかった。
ただ あとになって
あの時はつらかった
とだけ言った。
でも
その時に私も泣いたことは
ひみつ。
「行かないで」
「衣替え」
どんなに夏が長くとも
寒い朝がやってくる
どんなに夏が辛くとも
冬には辛さを忘れてる
この冬の緊張感と厳しさときたら。
ぬくもりを求めているのに
人と距離をとらねばならぬなど
矛盾と社会の間に立って
頭を抱える辛さときたら。
衣替えをするたびに
辛い記憶をタンスに仕舞い
新たな辛さを身に纏う
そしてもうすぐ 冬が来る
「声が枯れるまで」
大きく息を吸って
身体全体を使って
全身全霊を込めて
両足を踏ん張って
あなたに向かって
声が枯れるまで
伝えなくちゃと
ドキドキしたら
あなたは静かに微笑んで
私の両肩に手を置いて
「大丈夫
何も言わなくても
伝わってるから」
あぁそうだった
わたしもあなたが
大声をあげなくても
言いたいことが
わかってしまうんだった
肩から力を抜いて
ただただ あなたの
温かな手のぬくもりを感じて
温かな想いを感じるしあわせ
「声が枯れるまで」
「始まりはいつも」
ありがとうと言ってくれて
ありがたいと思う
申し訳ないと言わせてしまって
申し訳ないと思う
私があなたの傍にいられて嬉しいというと
あなたは私が傍にいてくれてよかったという
同じことを考えている
同じものを見ている
同じ言葉を同時に発している
同じ未来を見ている
あぁ 始まりはいつも
そう こんなふうに
いつの間にか
誰かに導かれるように
気づいたときには
すでに恋をしている。