maria

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9/29/2023, 3:47:15 PM

「静寂に包まれた部屋」


ついさっきまでの
LINEのやりとり
「今のどういう意味?」
「それはね…」
「あぁ、そうかわかった。ところで…」
「あるよね、そういうこと。以前にもね…」

他愛ないやり取りに
あなたも笑顔であることがわかるし
私も胸が温かくなっていく。

「じゃあ、そろそろ」
「うん。おやすみ」
「おやすみなさい」

切り難い、終り難い、去り難い。
部屋の明かりを落とし
スマホを暗転させ
そっと頬に当てる

さっきまで側にいた あなたの温もり

そしてここは

       「静寂に包まれた部屋」

9/28/2023, 2:02:10 PM

「別れ際に」

散々喋ったあとで
静かになった
あなたとの帰り道

先をのんびり歩くあなたの後ろ姿

空に満月ののぼる頃
真っ白に輝く月に
あなたの姿が照らされて
(ほら、今だよ)と月が云う
つぶやくように
できれば聞こえませんようにと
半ば祈るように

「あの、明日も……」

消え入るように口にすれば

その声に振り返るあなた
まるで決まっていたかのように
まるであたりまえのように
笑顔であなたってば

「うん。会おうか」



一番大事でいちばん大切な言葉は

別れ際にしか口にできない

            「別れ際」

9/27/2023, 1:22:26 PM

「通り雨」

あなたと別れて

反対方向に歩き出す。

まだ一緒にいたかった

ずっと一緒に生きていたかった。

幸せに どうぞ。


振り返りたい気持ちを

息を止めて堪えて

こらえて、視界がどんどんにじむ



どうか、雨よ

あなたに知られないよう

私の頬にだけ

あなたに気づかれないよう

私の頬にだけ

どうか、雨よ。

どうか、今だけ。

            「通り雨」

9/22/2023, 11:41:51 PM

「声が聞こえる」

目をこらせば

耳をすませば

わたしのからだ 自分を手放せば

ただ ただ 地球に寄せてみれば


木々の聲の

地中で眠る蝉の蛹の

鳴かぬ蛍の 怯える蛇の

じっとこちらを見る梟の

見上げれば 地球を見守る星の

私を凍えさせる月の 

瞬きをして涙を流す星の 

胸に刺さる明日の太陽の




すべての 声が聞こえる

聲が きこえる

         「声が聞こえる」



9/20/2023, 1:53:06 PM

「大事にしたい」



ほんとうにだいじにしたいものは

だれにもいわない

こころのなかだけで くりかえす

それだけでほんわりと灯りを含み

それだけでじんわりと私を温める


わたしひとりの秘密

そうでないと

こわれてしまいそうだから


         「大事にしたい」

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