「夜明け前」
私を取り巻く何もかも
すべてが私に背を向けて
すべてが私を排除して
泣いても喚いても誰も応えてくれはしない。
真っ暗な夜だと思っていたのに
暗闇の中で初めて見える
小さな小さな星のようなあなた
そのあなたに気づいてから
私は下を向かずに
上を向いて歩くようになった。
あなたを目指してあるき続けて
人々の嘲笑が気にならなくなった頃
東の空がぼんやりと
山々の稜線を映し出す。
このほしは山や海や平野や湖、
様々なものに溢れていると。
ようやく訪れるだろう
そう いまが私の 夜明け前
「夜明け前」
「本気の恋」
ちょっと付き合うとか
気を持たせるとか
駆け引きするとか
「付き合っちゃう?」と
冗談交じりに口にしたり
んー、なんか違うかなって と
道をすれ違う他人のように別れるのは
自分を暴かれるのが怖いから。
本気の恋は
自分の醜さや、弱さや
自分本位で相手の都合まで
まるで想像できないこととか
恥ずかしいことを
山ほどしてしまい
ボロボロに自分が暴かれる。
本気の恋は
自分と本気になること。
「本気の恋」
「カレンダー」
月曜から金曜までは くろ
日曜と祝日は あか
土曜日が あお
なのに君と会う約束のある日は
ふしぎなことに
それ以外の色に見えるんだ。
君はどうだろう
「カレンダー」
「喪失感」
喪失感と、いえるうちは
なくしたような気になっているだけで
本当はまだある。
無色透明になって
目には見えなくなっただけ。
だからこころでみないとね。
「喪失」してないわけで。
あなたがそのことを思って
口に出して話題にしているなら
「なくなっていない」んだから。
「喪失」した気になってるだけ、
ってことだろうが。
だから大丈夫。
そこにあるから。
そばにいるから。
「喪失感」
「踊るように」
黙って歩く
ふたり並ぶ影は
まるでスキップするかのよう。
私の長い髪が左右に揺れて
「うれしい」「たのしい」と
私の気持ちをバラしてしまう。
あなたはその独特の歩き方で
ゆっくりとリズムを刻む。
二人の影に目を留めると
「まるで踊っているようだ」
と、つぶやいた。
そう
躍るようにあなたと並ぶ長い影
私の長い髪は
あなたの方へ行きたがっている。
何も言わなくとも伝わっている
秋の夕暮れ
「踊るように」