「さよならを言う前に」
夕陽の当たる
オレンジ色の校門の前で
「別にお前に嫌われたって構わない」
真面目な顔の君もオレンジ色に染まる。
「ただ」
「お前が周りの人から愛されて、
幸せになってくれれば」
「だから…… 」
これが君が僕からはなれた理由。
さよならを言う前に
一生忘れられないような言葉をくれるから
僕は今でもオレンジ色を見るたびに
切なくなってしまう。
「さよならを言う前に」
「空模様」
太陽を隠す一面の雲も
空を覆い尽くす真っ黒な雨雲でさえも
私の隣りにいる
あなたの表情を隠すことはできない。
晴れていても
曇っていても
雷雨であったとしても
空模様がどうあったとしても
揺らがないのは
私のこころ模様。
あなたの表情をみるに
あなたのこころ模様も
きっと わたしとおなじ。
黙って見つめ合って ゆっくり微笑む
ふたりの こころ模様
「空模様」
「鏡」
鏡にうつる自分は
自分ではない。
左右が反対
心も反対
表と裏も反対
直視していられなくて
思わず目をそらすと
鏡の私も反対側に目をそらす。
離れながらも遠くからチラリと見ると
やはり同じようにこちらを伺う。
わたしはこの裏側のわたしと
どうやって折り合いをつけて生きて行けるか。
向こうの世界では
私と反対なのだから
裏の私ならば
すでに答えを持っているのかもしれない。
「鏡」
「いつまでも捨てられないもの」
たぶん おそらく きっと
うん 絶対に
告白なんてできない。
興味のないふりをして
こちらを見ていない時だけ
あなたの姿を遠くから瞳に焼きつける。
せめて夢の中なら ゆめなんだから
告白したっていいはずなのに
どうして夢の中まで
わたしときたらリアルのように
見てないふりなんかして
話しかけることもできやしない。
夢の世界だってわかっているのに
どこの世界にいっても
わたし は わたし
わたしという殻を
いつまでも捨てられないもの
どこの世界で巡り合っても
あなたの前に来ると
わたし は わたし
どこの世界で巡り合っても
わたし は あなたに恋をする
「いつまでも捨てられないもの」
「誇らしさ」
誇らしさ
それは朝日の出る前に
土から這い出て木に登り
誰からも教わらずとも
脱皮をする得も言われぬ美しい翅の蝉
それは母猫に見守られて
ヨロヨロしながらも
朝日に向かって立つ仔猫
それは小さな小さな種からエネルギーを貰い
ゆっくりゆっくり茎を伸ばし
太陽に向かい大輪の花を咲かせる向日葵
そしてそれは なにがあろうと
私を愛してくれる
最強のあなたの存在
そして ねえ 私も又
そんなあなたを愛する
誇らしさときたら。
わかる?
「誇らしさ」