maria

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5/23/2023, 12:26:20 PM

「逃れられない呪縛」


それは美しくありたいと願う以上
いつの日か
そうではない姿を直視するということ

それは夢を見ている以上
いつの日か
夢は幻でしかないと諦めること

それはあなたを愛している以上
いつの日か
その形が変わるであろうということ  
 

美しく生きようとし
夢を見て努力をし
あなたを一生愛すると誓い

雨上がりの虹に目を輝かせ
銀の満月に微笑みを映し
風に 雲に 花に そしてあなたに
世界が私を愛してくれていると
感謝をし 愛を返しても

生きた証が この惑星(ほし)に
ほしの記憶として残ってくれるよう
心からの祈りを捧げたとしても

いつの日か 誰の元にも平等に
その朝はやってくる

もう決して目覚めない朝が

それは生きている以上
いつの日か
鼓動を呼吸を止める日が来るということ

致死率100パーセントの
      逃れられない呪縛




5/22/2023, 10:37:23 PM

昨日を振り返ってみて
「ずいぶん昇ってきたな」と感じ
自分の進むであろう方向を見て
「まだまだ続くのか」と感じたなら
その道は辛いのではなく
あなたはまだまだ上へ行けるということ

昨日を振り返ってみて
「頂上がもう遠く」と感じ
自分が進むであろう方向を見て
「麓が見えてきた」と感じたなら
その道は楽なのではなく
あなたは落ちているに過ぎないこと


いずれにしても 人生というものは

一瞬一瞬が 油断できないもの

いずれにしても いきるということは

一瞬一瞬が 辛く哀しく 

あるいは いとおしいもの


昇っているのか 降りているのか

さあ 深呼吸して

   昨日へのさよならを

さあ 前を向いて

   明日との出会いを



「昨日へのさよなら、明日との出会い」

5/21/2023, 11:46:55 AM


相手のことがよく見えるときは
相手からも自分のことがよく見える

駆け引きや狡猾さ、欺瞞や焦燥
隠しておきたい嫉妬なんかも
全部 すっかり お見通し

ドロドロした中身を
見抜かれたくなくて

私とあなたの間を区切る
クリアなガラスにスプレイで
落書きをして見せるように

あなたと私の間にある水槽の
透明な水にミルクを混ぜて
撹拌して濁らせるように 

   軽妙な笑いで躱す

つまり 私があなたを
愉快にさせてる時は
ほんとうは 
心に触れてほしくない時
見えていても 
見えていないことにして欲しいとき

いまが まさに そうなのよ

         「透明な水」

5/20/2023, 1:38:05 PM

理想のあなた?


そうね じゃあ

私の前から消えてくれる?

だってわたし

あなたの顔も見たくないんですもの

あなたがいないことが

私を理想の世界に近づけてくれるから

最後のおねがい

        じゃあ さようなら


       お題「理想のあなた」






 「理想のあなた」

5/19/2023, 12:50:48 PM

可愛いペットとの突然の別れ
つらいですよね?
でもこちらの「アニマロイド」でしたら
もう安心。
動物の形状でありながら
あなたと言語で会話もでき
あなたの性格に合わせて学習し成長する
育成機能搭載!
ぜひこの機会に 「アニマロイド!」


アメリカンショートヘアーキャットの
トムを亡くしたばかりの私は
涙にくれながら
次に一緒に暮らす猫を
ネットで探していた。
その時にこの広告を目にしたのだ。

アニマロイドなら飼い主より先に
死ぬことはない。
それに躾をしたり可愛がれば
学習していくという。
私ならば もちろん猫一択だ。

動物の種類をカタログで見ていると
「猫科」の項目にライオンがあった。

「ライオン!いいじゃない。
一人暮らしだし、防犯対策にもなるわね」

オスのライオンタイプを選んで
購入ボタンを押した。


数日たったある日、
玄関に大きな荷物が届いた。
箱を開けると本物そっくりの大きさの
オスライオンが横たわっていた。
首の後ろに「アニマロイド」と書かれた
小さなタグがなければ、
本物と見違うところだ。
私は大満足で早速8時間の充電をした。

充電後スイッチを入れてから
チャラン(私の推しの俳優名だ)は
言葉をどんどん覚えて賢くなっていった。

たてがみを優しく撫でると
「君が優しいから私も優しくなれるよ」
などとキュンとすることを言う。

会社で嫌なことがあってグチを言うと
「君が怒るなら私も共に怒ろう」と
怒りを共有してくれる。

「チャラン、今日ね、スマホ落として
画面が割れちゃった」
とチャランに抱きついて泣くと
「それは辛かったね。私もつらい」
と顔を擦り寄せてきてくれる。

なんでも私の言うことを聞く
いいこに育ってくれて
毎日、家に帰るのが楽しみになった。


そんなある日、私は彼氏と喧嘩をして
泣きながら帰宅した。
チャランが心配そうにすり寄ってきて
私のそばに座る。

「チャラン。彼が別れようっていうの。
もう死にたい!!」
そういうとチャランは私の目を見て

「そうか。わかったよ。」と、こたえ

そして 私の喉に牙を立てた……。

床に倒れて虚ろにかすむ私の瞳が
最期に映したものは
チャランのたてがみに隠れた
「アニマロイド」のタグの裏面。

「本商品は、育て方によって
 ご主人様の言う事を大変忠
 実に守ります。
 突然のお別れにならないよ
 うに使用上の注意を守って
 正しくお使いください」


        お題「突然の別れ」

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