食べたいものがあれば
食べたくないものがある
読みたい本があれば
読みたくない本がある
好きな音楽があれば
好きではない音楽がある
観たい映画があれば
観たくない映画がある
いいなと思う人がいれば
嫌だなと思う人がいる
何かを好きだと思うことは
好きではないものを弾き出すこと
好きなものだけを自分の周りに掻き集めて
それらを繋いだ鎧を纏い、
言葉を固めたレンガで城を築く
いまからわたしはそこに
独りでこもるのだから
私の世界に要らないものは
堀の底深くに沈めるのだから
そんな私に どうか 優しくしないで
「優しくしないで」
「カラフル」
白は正しくてうつくしく
天からの贈り物
黒は誤りでおそろしく
魔女や魔物の好む色
では灰色は? ただしいの? 誤りなの?
青は正しくてうつくしく
信号機の進んでよしの色
赤は誤りでおそろしい
信号機の危険を知らせる色
では紫色は? ただしいの? 誤りなの?
みどりは?
きいろは?
ももいろは?
黒い肌の色は?
黄色い肌の色は?
茶色の肌の色は?
白い肌の色は?
この世にあふれるカラフル
どれだけの色をしっていて
そのすべてを愛おしく思える力が
自分のカラーをも愛せる
ということなのかもしれない。
カラフル
「楽園」
穏やかな陽の光のもと
花々が咲き乱れ、蝶が舞い
蟻とキリギリスがともに遊び
羽虫と蛙たちが羽音とその喉で唄いあい
大勢のゴキブリ達とアシナガグモの群れが
夜の社交場でダンスをする
そんな生き物たちが住まうところを
楽園というならば
自分にとっては
安心して目を閉じられる
このベッドこそが
ら く え ん
晴れた日は、どこかしこから
人やものが外界を目指す
蠢く姦しい悪意と嘲笑と傲慢に満ちた
おぞましい魍魎たち
それらを避けて歩くことはむずかしい
だからわたしはいつものように
わたしだけの部屋にいて
目を閉じて五感を研ぎ澄まし
ただただ天からのめぐみを待つ
太陽の方向だけの窓を開けて
待つことしばし
いずれ沈丁花の香りを纏った風に乗って
わたしのためだけの啓示が届くだろう
わたしはゆっくりと目を開ける
今日もこうして 文字は綴られていく
お題「風に乗って」
「刹那」
朝、目を覚ます。
「起きる?」「誰かを待つ?」
クローゼットを開ける
「ベージュ系?」「ピンク系?」
街を歩く
「カフェにする?」「ファストフード?」
友達とお喋り
「そうそう、わかる。」
「うーん、そうかなあ、でもね。」
ニュースを見て
「共感する?」「批判する?」
親と喧嘩して
「ごめんなさい?」「うるさい?」
今日いえにかえる?
それともかえらない?
好きな人に
「告白する?」「秘めておく?」
別れの言葉を告げられたら
「笑顔で?」「泣きながら?」
そしてあなたの最期のとき
「感謝を伝える?」
「恨み言を残す?」
それとも?
わたしの人生は 選択の積み重ね
あなたの人生も 刹那の積み重ね