maria

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5/2/2023, 12:20:44 PM

食べたいものがあれば
食べたくないものがある

読みたい本があれば
読みたくない本がある

好きな音楽があれば
好きではない音楽がある

観たい映画があれば
観たくない映画がある

いいなと思う人がいれば
嫌だなと思う人がいる



何かを好きだと思うことは
好きではないものを弾き出すこと


好きなものだけを自分の周りに掻き集めて
それらを繋いだ鎧を纏い、
言葉を固めたレンガで城を築く

いまからわたしはそこに
独りでこもるのだから

私の世界に要らないものは
堀の底深くに沈めるのだから



  そんな私に どうか 優しくしないで



「優しくしないで」

5/1/2023, 4:02:25 PM

「カラフル」




白は正しくてうつくしく
天からの贈り物

黒は誤りでおそろしく
魔女や魔物の好む色

では灰色は? ただしいの? 誤りなの?

青は正しくてうつくしく
信号機の進んでよしの色

赤は誤りでおそろしい
信号機の危険を知らせる色

では紫色は? ただしいの? 誤りなの?

みどりは?

きいろは?

ももいろは?



黒い肌の色は?

黄色い肌の色は?

茶色の肌の色は?

白い肌の色は? 


この世にあふれるカラフル

どれだけの色をしっていて

そのすべてを愛おしく思える力が

自分のカラーをも愛せる

ということなのかもしれない。



            カラフル

4/30/2023, 9:45:22 PM

「楽園」



穏やかな陽の光のもと

花々が咲き乱れ、蝶が舞い

蟻とキリギリスがともに遊び

羽虫と蛙たちが羽音とその喉で唄いあい

大勢のゴキブリ達とアシナガグモの群れが

夜の社交場でダンスをする 

そんな生き物たちが住まうところを

楽園というならば



自分にとっては

安心して目を閉じられる

このベッドこそが

     ら く え ん

4/30/2023, 2:34:30 AM

晴れた日は、どこかしこから
人やものが外界を目指す

蠢く姦しい悪意と嘲笑と傲慢に満ちた
おぞましい魍魎たち

それらを避けて歩くことはむずかしい

だからわたしはいつものように
わたしだけの部屋にいて
目を閉じて五感を研ぎ澄まし
ただただ天からのめぐみを待つ

太陽の方向だけの窓を開けて
待つことしばし
いずれ沈丁花の香りを纏った風に乗って
わたしのためだけの啓示が届くだろう


わたしはゆっくりと目を開ける
今日もこうして 文字は綴られていく




お題「風に乗って」

4/29/2023, 4:44:40 AM

「刹那」




朝、目を覚ます。
「起きる?」「誰かを待つ?」

クローゼットを開ける
「ベージュ系?」「ピンク系?」

街を歩く
「カフェにする?」「ファストフード?」

友達とお喋り
「そうそう、わかる。」
「うーん、そうかなあ、でもね。」

ニュースを見て
「共感する?」「批判する?」

親と喧嘩して
「ごめんなさい?」「うるさい?」

今日いえにかえる?
それともかえらない?

好きな人に
「告白する?」「秘めておく?」

別れの言葉を告げられたら
「笑顔で?」「泣きながら?」

そしてあなたの最期のとき
「感謝を伝える?」
「恨み言を残す?」

それとも?

  わたしの人生は 選択の積み重ね

  あなたの人生も 刹那の積み重ね


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