初めての一人旅は、どこへ行こう。
国内か海外か。
小さい頃に夢見たディズニーに出てくるような街に
行ってみようか。
プリンセスみたいな恋は難しいのはわかってる。
でも、新しい何かがこれからの未來の鍵を握っている
と少しの不安と大きな期待を胸に冒険に出ようかな。
「応援してる」って君が耳元でささやいてくれたのが
何よりも励みになったよ。
「好きだよ」くらいのモチベーションが上がる薬。
独りよがりの片思いだから、
愛の言葉なんて言ってもらえないのはわかってる。
だけど、影で見てくれてると思うと
不真面目ではいられないよ。
楽しく懸命に取り組む私を見てほしい。
少しでも見方が変わればこの恋の方向が
プラスに変わるかもって勝手に思う私が少しニクイ。
私が幼稚園児の頃、名前も知らない大道芸人が
影絵を披露してくれた。
いつも違う動物で、いつも違う種類のお話で
彼は私たちを楽しませてくれた。
私もいつかそんな風に人を楽しませる人になりたくて
こっそりと大道芸人の男性に聞いてみた。
「どうしたら、あの動物は生まれるの?」
その男性は答えた。
「あの子たちはね、僕たちの手の中に住んでいるんだ。
だから今すぐには君のお友達にはならないかもしれない。
でもね、一つだけ方法を教えてあげよう。
いい子にしてたらとかそんな簡単なことではなく、
誰か寂しそうにしてる人を見つけたら
自分がお日様の影になるようにこの子を手で作って
ぴょこんとその人の目の前で、話しかけてごらん。
そしたら、君の手の中に君だけのお友達が沢山できるよ。
大丈夫、君ならできる。
僕の手の中に住むお友達と仲良くしてくれたから。
その優しい気持ちがお友達とつなげてくれるんだよ」
そう言ってその人は私に
手で作るウサギの影絵を教えてくれた。
そしてその影絵は私の好きな男性の救いになって、
彼は私の今の旦那さんになった。
そして、年月は過ぎて私の幼い娘のお友達になった
いつだって人生には「スタート」と言える場面がある
何とかデビューをしたとき、人は緊張と共に心が躍る
期待より不安の方が大きいのが、子供の頃の私だった
でも、大人になってから何とかデビューを決めるのは
自分自身なんだ。
だから、今となっては何でも挑戦するようになった。
不安もあるけど、
「輝きたい」という思いでスタートを切る。
試用期間の始まりは新しい物語の始まり。
だから、怖がらずに進もう。
たとえ、もしそれが念願の交際の始まりなら、
温めていこう、恋人との絆を。
誰かが私の名前を呼んでいる。
でも、周りは見渡す限り背の高い木が並ぶ森。
人も動物もいなくて静寂の中に風の音が耳に当たる。
その空気が私の名前を呼ぶ声を運んでくる。
ひとりぼっちで寂しいから
いきなり何かに襲われそうで怖いから
早く声の主に会いたい。
そう思って声がする方に向かって走るけど
進んでいるはずなのに周りは同じ景色。
近づいているはずなのに声は遠のく。
「ウサギ、君はもう一人じゃないからね」
そう言ってくれてるのに
私は焦るし、涙が溢れて止まらない。
一人じゃないのに一人だと思わせるこの世界が嫌いだ
早く、会いたい。
涙で滲んだ視界の遠くの方に、
おぼろげに人の形をとらえた。
「あの!あなたは誰ですか?」
必死に叫ぶ私に向かってその人は言う。
「ウサギの求めている絆の相手だよ」
その一言を聞いた瞬間、目の前にその人がいて
私は叫ぶ。
「ごめんなさい!
あなたの優しさに気づけなかったから」
号泣する私にその人は優しく抱きしめてくれた。
遠くの方から私を呼んでいた声の主は
私の大切な見捨ててはならない人でした。