ネジが外れたウサギ

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9/26/2024, 6:13:04 AM

当時付き合っていた彼氏の家の窓からは

棚田が広がっていた。

「昔、俺あの山の傾斜でよく転がったよ」

「えーっ!よくそれを平気で言えるね、逆にすごい」

「まあ、今は普通に生きてるし」

彼の無邪気なその笑顔に、

私は母性を少しくすぐられた気がした。

転んでも泣かない強い幼子のようで誇らしく思った。



もし、今の旦那との間に子供が生まれたら

あの窓から見た景色のような田舎に引っ越そうか。

自然豊かな暮らしを幼い頃に経験させてあげたい。

商業施設は近くにないし、危険が多いのは承知してる。


でも、のびのびと育ってほしい。

しがらみのない場所で経験したことを、

いつか何かで表現できる子になってほしいから。

9/25/2024, 2:37:30 AM

『言葉』とは形が無いものだと思ってた

文字に表され

音に飾られ

声によって支配される

そんな言葉たちはフワフワした綿毛のように思える


だけど

言葉は利用されるシチュエーションにより

形を変える


ポジティブなときは花のように柔らかく丸みを帯び

ネガティブなときは岩のように硬くてトゲを持つ


ネガティブなときの言葉を花に変えられたら

チューリップの花弁のように苦さを守りたい

9/24/2024, 5:51:59 AM

幼い頃、ジャングルジムが怖かった。

まず第一に登り方がわからないし、

もしかして一生出られなくなる迷路なのかと思った。


だけど、

あの頂上に辿り着けたら

これからの道を何も恐れることなく歩めるのかと

ふと思った。


ある日、友達に誘われて勇気を出して

ジャングルジムに登った。

誘導されることに安堵したのか恐怖心なんてなかった


そして、その友達と二人で頂上まで行った時

目が回った。

巧みに絡むジャングルジムの迷路のような格子が

私には複雑な知恵の輪の中にいるように思えた。


私が足を滑らせて落ちそうになった時、

友達は私の腕を掴んでこう言った。


「大丈夫だよ。

ここは勝負に勝った僕たちの優先席だから」


9/23/2024, 8:09:55 AM

サヨナラさえ言えぬなら私はどうすればいい?

私はあなたを裏切ったの。

だから、別れの言葉を言わなくてはいけない。


誰かの声が聞こえる。

「今までありがとう」


君は誰なの?

「あなた」なの?

もし、そうならば…


誰かの声に涙を流す。

「せめて許せないと言って」

9/22/2024, 5:57:02 AM

秋になると『君』を探す


普段は読まない小説を

読書の秋のせいか読みたくなる


だから今年の秋も恋をする

小説の中に現れる『君』に


筆者のイメージの『君』とは別に

私のイメージで『君』をつくりあげる


実在しない人に恋をする

アニメとは違う想像の世界に住む『君』に


去年の『君』は服には疎いけど音楽センスは秀でる

実際に会って話してみたかった

そう思わせる人だった


秋になると『君』を探す

秋になると紅葉のように頬は染まる

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