こんなとき、神さまが舞い降りてきたら、
どんな助言をして救うのだろうか?
会社の親しい同期の子がカスハラを受けて泣いていた。
私は「大丈夫だよ、私が力になるから」と言いながら、
彼の背中をさすった。
『大丈夫』以外の強いお守りになる言葉を探した。
ふとついて出てきた頭の中の一言は
『諦めないで一緒に戦おう』とか無責任な言葉の羅列だった。
彼はただ『ありがとう』だけを繰り返し、その場を後にした。
こういうとき、あのサクセスストーリーのドラマでは主人公になんて言ってたっけ?
そんなことが不意によみがえった。
セリフが思い出しても、
それが今のこのシーンに適してるとは言えない。
私はその夜、寝付けなかった。
「おはよー!」
あんなに落ち込んでいた同期の子が清々しい顔をして出勤してきた。
私は驚き、『大丈夫?』と尋ねた。
「昨日、女神さまが舞い降りて俺にこう言ってくれたんだ」
突然、彼は目を輝かせて私に言った。
普段はこんなことを言うタイプの性格ではないけど、
彼は真剣だった。
『ハラスメントを与えた客や内容を悩むよりも、
あなたが今やるべきことは
自分の心の拠り所を見つけること。
つまり、あなたの自信のあることや好きなことを
思い切ってやること。
そうすれば、ハラスメントを逆手にとって客の心をつかむ最高の仕事ができるはず。
人の心の痛みがわかるあなたには、
人を喜ばせる方法を知っているから』
彼から聞いた女神さまのお告げを私もお守りにしたくなった。
それから彼は、営業成績をメキメキと上げ、部長に就任した。
陰湿なイジメで心を病んだ少女がいた。
病気は彼女を狂わせ、生活は堕落した。
自殺しようと思っても出来ない自分は弱いと思った。
でも、今になってわかる。
それは強いことの裏返しだった。
前科者が更生するのと同じで、
病んだ心を復活させるのは並大抵のことではない。
ただ、諦めずに、『普通の幸せ』を得るために
社会に出るために、彼女は戦った。
そして彼女は数年かけて社会人となって貢献している。
これは、人によっては、フィクションに聞こえるだろう。
誰かのためになるかわからない。
でも、これは実話だと信じてほしい。
病んだ少女が『普通』に成り上がった話だと。
ネジが外れた人形は、自分でネジを創り、
新しい道を切り拓いた。
今、つらい人がこれを読んで涙が希望に変わることを
祈ってます。
ある日、鳥かごの中で歌をうたうインコを見かけた。
そのインコは可愛らしい声で誰も知らない曲をハミングしている。
私は彼女がうたう曲に合わせて一つの歌詞を添えて動画投稿サイトに載せてみた。
すると、それはバズった。
私の悩みを打ち明けた歌詞とそれを他人事のように流れる明るいメロディ。
それが世の人には響いたみたいだ。
私はそれが嬉しくてインコに曲をねだった。
そしてまた、歌詞を書いて投稿した。
最後に投稿した曲は、炎上してしまった。
なぜなら、叶えてはいけない恋の歌だったから。