こんなとき、神さまが舞い降りてきたら、
どんな助言をして救うのだろうか?
会社の親しい同期の子がカスハラを受けて泣いていた。
私は「大丈夫だよ、私が力になるから」と言いながら、
彼の背中をさすった。
『大丈夫』以外の強いお守りになる言葉を探した。
ふとついて出てきた頭の中の一言は
『諦めないで一緒に戦おう』とか無責任な言葉の羅列だった。
彼はただ『ありがとう』だけを繰り返し、その場を後にした。
こういうとき、あのサクセスストーリーのドラマでは主人公になんて言ってたっけ?
そんなことが不意によみがえった。
セリフが思い出しても、
それが今のこのシーンに適してるとは言えない。
私はその夜、寝付けなかった。
「おはよー!」
あんなに落ち込んでいた同期の子が清々しい顔をして出勤してきた。
私は驚き、『大丈夫?』と尋ねた。
「昨日、女神さまが舞い降りて俺にこう言ってくれたんだ」
突然、彼は目を輝かせて私に言った。
普段はこんなことを言うタイプの性格ではないけど、
彼は真剣だった。
『ハラスメントを与えた客や内容を悩むよりも、
あなたが今やるべきことは
自分の心の拠り所を見つけること。
つまり、あなたの自信のあることや好きなことを
思い切ってやること。
そうすれば、ハラスメントを逆手にとって客の心をつかむ最高の仕事ができるはず。
人の心の痛みがわかるあなたには、
人を喜ばせる方法を知っているから』
彼から聞いた女神さまのお告げを私もお守りにしたくなった。
それから彼は、営業成績をメキメキと上げ、部長に就任した。
7/28/2024, 6:32:15 AM