9/28/2023, 10:34:08 AM
別れ際に
「あのさ…」
何か言いかけて、そのまま口を閉ざしてしまった彼は少し寂しそうに笑って歩き出す
冷たい風が2人の間を吹き抜けて
呼び止めようとした言葉は
白い息になって冬の夜空に消えしまった
別れ際に
彼が何を伝えようとしていかは分からない
知りたくても
もう二度と会うことは出来ないから…
9/27/2023, 12:18:07 PM
通り雨
突然の雨に降られて
僕たちは近くの軒先に駆け込んだ
薄暗く空を覆う雲は流れていく
「まだしばらく止みそうにないね」
濡れた髪を束ねて見えた
うなじにドキッとして目を逸らす
ドキドキする心臓の音がうるさい
「あっ!虹!」
君の声に視線をあげると
薄い灰色の空に大きな虹がかかってるのが見えた
「きれいだね!」
そう言う君の横顔の方がきれいだった
悪くないな
通り雨も…
9/26/2023, 11:23:59 AM
秋🍁
青く澄んだ空をトンボが群れで飛んでいる
目の前に燃えるような赤が一面に広がっている
風に揺れる彼岸花がまるで
謳ってるかのようにゆらゆらと揺れて
静寂の中に佇む花たちが
どこか寂しげに見えた
秋風が僕を撫でて通り過ぎ
木々のざわめく音が聞こえる
この場所での記憶はいつまでも忘れる事はないだろう
忘れられない思い出での場所があるのは幸せな事だから…
9/25/2023, 11:14:02 AM
窓から見える景色
電車に揺られて帰路に着く僕らに残された時間は僅かだ
どちらからともなく
そっと手を重ねて肩に寄り添い合う
ゆっくり進む電車の車窓には
夕焼け空が
家々の屋根と木々を徐々に赤く色付けていくのを背景に
君と僕の2人だけが映っていた…
9/24/2023, 12:51:49 PM
形のないもの
愛は確かにここにあるはずなのに
形として捉える事が出来ずに
いつも不確かで
時に僕をどうしようもなく不安にさせる
守らている幸せを感じたくて
抱きしめてほしいのに
母は僕を一度も抱きしめる事はなく
「迎えに行くからね」と言い残して去った
形のないもの
母の愛は
時間と共に僕の方へ移り変わるのだろうか…