花畑
色とりどりの花たちが鮮やかに咲き誇る花畑に甘い香りが漂っている
その中央に佇む少女
「か~な~いぃ~こっち~」と嬉しそうに呼びながら花を摘んでいる
青い空の下で
風に揺れる薄茶色の髪が美しく煌めいて
幼くも整った顔立ちは透き通るほどに白く輝いている
「お嬢様…」
私はただの執事でございましょう
しかし、自分の気持ちに気付いてしまった
今はただ
ずっとお嬢様のお側に居たい
この気持ちを押し殺してでも…
空が泣く
見渡せば海
コンビニも自販機もない
閉鎖的な場所だった
潮風の匂いにも飽き飽きする
ここから逃げて
一緒に島を出ようと約束したのに
「やっぱり行けない」と伝えられた言葉を思い出す
「何で」の理由も聞かなかった
答えは分かってたから
動き出した船のデッキには雨が降り出していた
霞んで行く景色の中
桟橋を走って
「ごめんね 一緒にいけなくて」と叫び泣く君の姿を見つけた
空が灰色の雲に覆われて重苦しい
僕の心と同じように空が泣く
君からのLINE
君からのLINEに返信するよりも
直接会いたい気持ちが抑えきれなかった
息を切らしながら騒がしい駅の改札を抜け
待ち合わせの場所へと走る
ベンチに寒そうに座って居る君の姿を見つけると
思わず駆け寄って抱きしめてた
君は少し驚いた後
嬉しそうな微笑みを僕に向ける
2人の間に静かに優しい甘い時間が流れてく
夜明け前
まだ薄暗い空には灰色の雲が形を変えながら流れていく
見渡しても辺りの景色はぼんやりしかわからなかった
吹き抜ける風をうけながら
歩道橋の手すりに寄りかかって
何時間もお互いの夢や悩みを打ち明けたり、将来も語り合ったよね
「お互い30歳になって独身だったら結婚しようか」
「いいね!保険みたいな感じで!約束ね!」
やがて水平線から太陽が登り始め
優しく包み込むような光が広がっていくのを見ながら
2人共に交わした約束は果たされないだろうと…
この関係が終わる事がないと
まだ若い私達は信じていたから
本気の恋
ずっと思っていた
これは、本気の恋ではないと
似たようなものを探しては
重ね合わせて違うと認識する
何度も何度も…
そんな事、終わりにしなければいけないのだとも分かっている
過去に縛られたまま
大人になった今でも
私は愛した人を探し続けだろう
最後の瞬間まで