僕のカレンダー
彼女と初デートに行く事になった
カレンダーに大きく印を付けて
その日が来るのを心待ちにしていた
当日、彼女はとても可愛くて
「手、繋いでいい?」と聞いて
初めて僕から手を繋いだ時
「うん」と恥ずかしそうに俯きながらも
力強く握り返してくれた温もりが凄く嬉しかったんだ
時間が止まればいいのに…
私のカレンダー
彼氏と初デートに行く事になった
水族館デートだ
私はカレンダーに大きくハートを書き込み
服装からメイクも考えて心待ちにしていた
当日、彼は凄くかっこよくて見惚れてしまった
「手を繋いでいい?」と聞かれて
「うん」って答えて手を繋ぎ
緊張で大きな手をギュと握り返した事が恥ずかしくて少し俯いてしまった
握られた手を見ると嬉しくて口元が緩む
時間、止まればいいのにな…
ある日突然消えてしまった
思い出が次々と浮かんでは消えていく
写真の中の笑顔を眺めながら
失った現実が心に重くのししかかって
もう二度と会えないのだろうと実感した途端
悲しみが込み上げてくる
「会いたい…」
言葉にした途端に
言いようのない喪失感が押し寄せて
押し潰されそうな思いは
消えてくれるのだろうか…
この世界に一つだけ
夢を見た
凄くリアルで鮮明な…
目を覚ました僕の手に古びた紙が握られている
何だか見覚えがある紙をそっと開いてみる
「あなたにはこの世界で生きてほしかった
元の世界で生きていく事を選んだのですね
あなたはかけがえのない存在でした
あなたが居るだけで嬉しくて
笑顔を見るだけで幸せだった
あなたと私が過ごした日々を綴た大切なもの
この世界に一つだけの物語りを
どうか忘れないで」
知らない事が書かれているのに
僕の胸は痛み熱い涙が頬を濡らしていく
何故だろう…
何か大切な事を忘れている気がする
胸の鼓動
緊張しながら列に並ぶ
ちょっとでも気持ちを落ち着かせようと深呼吸を繰り返すが
手の汗が滲み止まらない。
どんどんと列が前に進んで行く
周りから聞こえる歓声が
これから向かう所へ
さらに期待に胸を膨らませていき
心準備が追いつかない
とうとう私の順番
束の間の夢だった
うるさく脈打つ胸の鼓動は終わってからも治まらなかった
時を告げる
門限が12時の私は
彼からシンデレラと呼ばれている
どんなに楽しくて一緒に居たくても
12時になるギリギリには家に帰らなければならない
シンデレラもこんな気持ちだったのかと不憫に思う
時計の針が12時を指し
幸せだった時間が終わる
今日も時を告げる残酷な音が鳴り響く