一年前
僕は変な夢を見た
辺りにあるビルが壊れて
道路はたくさんヒビが入ってて
都会のポイ捨てみたいに死体が転がっている
遠くからは緑色の煙が立ち上ってて
それを唖然と見ている僕
変な夢だなって起きた時に思ったんだ
だけど夢をすぐ忘れる僕が
その夢だけはずっと覚えていた
頭の片隅にこびりつくように
ふとした瞬間に思い出していた
まさかそれが
伏線だとは思わないじゃないか
お題『一年前』
辞書みたいな分厚い本
コンビニに売ってそうな本
美術品として保管されている本
君の好きな本は?
え、僕?
そうだな
世界史の本が好きかな
なんでかって
うーんそうだな
人間って愚かだなってわかるから
そう言った彼の顔は
ニタニタと口が裂けながら笑っていた
お題『好きな本』
学校の屋上で
寝っ転がって空を見る
夕方の肌寒い風が短い髪を揺らす
オレンジなのか
青なのか
はっきり判別ができない
あいまいな空が広がっている
誰にも聞かれず
誰に聞かせるわけでもなく
自身の悩みをぽつりぽつりと
空に向かって投げかけた
がちゃりと後ろから扉の開く音がする
その人物はからかいながらそばに立ち寄る
次は君に悩みを投げかけた
お題『あいまいな空』
これはすき
ぎゅってだきしめた
これはきらい
ぽいってすてた
これはすき!
いっしょにごはんをたべた!
これはきらい!
ごはんにした!
まずかった!
これはすき?
わかんなかったからおいておいた
これはきらい?
わかんなかったらいっしょにおいた
これはすきってわかった!
でももううごかなかった
これはきらいだっておもった!
うごいてたからすてた
ただおかあさんにいわれたまんまでやってるのに
どうしてへんなめでみるの?
お題『好き嫌い』
この街の中心にそびえ立つ塔
真上にある満月が全てを照らし
全ての影を作っていた
一人の少女はそんな塔の屋上に立っていた
風が強くて体を揺らし
彼らのように突き落とそうとしてくる
ゆっくりと一回転し街を見渡す
ビル群は残業成果の灯りが並び
住宅街は睡眠時間だと強制するように静かだ
大好きで
大っ嫌いなこの街
月に向かって手を伸ばした
だれか助けてくれる人が降って来ないかなって
そんな期待をした
でもその期待を裏切るように
何が月から降りてくる
あれは一体?
お題『街』