9/29/2023, 3:21:43 AM
「ごめんなさい」
そう言う君の胸元に僕の贈ったペンダントがきらめく。
ああ、今までの事は嘘だったのか。そう思うと、目の縁が熱くなる。
そして僕はあまりの悲しさにこう叫んだ。
「ペンダント返してよ!」
8/11/2023, 1:40:06 PM
「君ほど麦わら帽子が似合う子、他にいないよ」
日差しの降り注ぐ暑い日、
そう言って彼は優しく微笑んだ。
「そうかしら」
限りない青色が広がる空の下、
彼女は照れくさそうに笑った。
ああ、蜜蜂さんったら
ああ、向日葵さんは
なんて素敵なんだろう。
8/10/2023, 12:09:42 PM
おかしい。何かがおかしい。
電車に乗った時刻から、10時間が過ぎた。
何か怪奇現象が起きる訳でもなく、
目的地へ到着する訳でもなく、
外を見れば青々とした田んぼが広がっている。
ただ外を眺めていると、
突然車掌のアナウンスが入った。
「まもなく終点です。51年の長旅、ご苦労様でした。」
そうか、俺、死んだんだっけ。
8/9/2023, 3:08:01 PM
夏。
長年勤めていたゲーム会社を辞め、十数年ぶりに実家へ帰省した。
いや、辞めた、というよりは
辞めさせられた、の方が的確だろう。
ただ、リストラに遭ってしまっただけだから。
そんな私を、祖母は暖かい手で優しく包んでくれた。
私は、祖母の八百屋を継ぐ事になった。
生きるのは決して楽じゃないけど
澄んだ空を見る度に思う。
「上手くいかなくたっていい」