10/8/2024, 12:42:41 PM
今なら少し休めるな。
そう思い張っていた気を少し緩めた。たびたび休憩を挟んではいたが、2時間も同じ姿勢をとっているため疲れが出始めていた。
手と足は状況に応じた繊細な動きが求められるし、特に目は僅かな変化も見逃さないよう常にあちこちを見回している。
これで疲れるなというのは無理がある。
そばに置いていたブラックのコーヒーを一口飲み、指の腹で瞼の上から軽く目をほぐす。
ふと顔を上げると、休憩の時間が終わろうとしていた。
緩めていた気に活を入れ、その時を待つ。
『束の間の休憩』
10/7/2024, 1:35:19 PM
がしゃん。
自転車が地面にぶつかる音と共に、男の子が転んで手をついた。私がこの公園についてからさほど時間は経っていないが、そろそろ両手の指では足りないくらい同じ光景を見ていた。
「あとちょっとなんだけどな」
男の子には聞こえていないと分かりつつ、私は独りごちた。
見ればやはり、地面から足を離すのが怖いのだろう、おっかなびっくりといった感じでペダルを漕ぎ出しては転倒する。
「ああ、おしい!」
ただ今回は少しだけ違った。彼なりに考えて挑んでいるのだろう、転ぶ前にハンドルを動かし体を反らせ、どうにかしてバランスを取ろうとしていた。
「よし、もういいか」
少しの休憩のつもりが、思いのほか長くなってしまった。
冷ました体をほぐすように、軽くストレッチをしてランニングの準備をする。
(あそこまでできるなら最後に必要なのは思いきりだろうし、すぐに乗れるようになるかもね)
自転車の練習をする男の子を背にそう考えながら、公園の出口まで歩いて行く。
がんばれ。心の中でエールを送っ私はて走り出した。
その一歩目は、いつもより力強く感じた。
『力を込めて』