誰よりも強くなりたいと、君は鍛錬をしていた。
その姿を間近で見たくて、私も一緒に付き合ったね。
けど、私の方が強くなってしまった。
顔から血の気が引く私に、君は笑顔で「すごいね!」と言ってくれたね。
その時、私は思った。
ああ、君は本当に強いなぁって。
「12歳の俊へ
10年後の俺は、右手に暗黒大将軍の力を宿し、闇の世界を支配するべく活動している。
闇の世界では、最近ベニアグラという集団が暴れている。
それを排除すべく選ばれし闇の勇者の俺が戦っているのだ!
だが、勝つためにはお前のシンフォシーが必要だ!
どうか、力を貸してくれ!
22歳の俺より」
……と母の文字で書かれていた。
「厨2病に息子を巻き込むなよ」
25歳の俺はため息をつて脱力した。
バレンタインにチョコレートをあげたいが、彼はチョコレートアレルギーである。
だからバレンタインでは毎年、カレールーを送ってカレーを作ることにしていた。
だが、今年はいつもと違い、隠し味を入れることにする。
いつものように食べる彼に私は笑いかける。
浮気した、あなたが悪いんだからね。
「必ず迎えに来るから、待ってて」
そう言ったきり、彼女は戻って来ない。
空腹に耐えて何日も待って、やがて僕だったものが、なぜか下に落ちている。
そして身体が軽いことに気がついた時、僕はあることを思いついた。
そうだ! 迎えに来ないなら、こっちから迎えに行けばいいんだ!
決断すると、すぐに彼女の元に駆けた。
彼女を見つけると、僕は抱きしめるように飛びかかった。
さぁ、一緒に逝こう!
あの人に伝えたいことがある。
だけど、余計なことではないかと躊躇してしまう。
けど、勇気を出して伝えることにした。
「すいません、チャック空いてますよ」