繊細な花
繊細な花のような人
どうして
あなたの心が揺れて
涙がこぼれ落ちるのを知っている
我慢して、頑張って
自分よりも大切にしてくれたことがあるのを
知っている
お花が繊細で美しいのは
お水と土と太陽の輝きがあるから
あなたの繊細な心は、
お花のように
いつかしなやかに美しくなります
おひさまのような人に会えば
あなたの心はまた動くし
お水のような人に会えば
またあなたは心を潤わせ
前を向くことができる
あなたが心を動かすことをやめないで
その生きる輝きが
きっと誰かを救うから
あじさいって、土の成分で色が変わるんだって。
母が言う。
母は、いろんな場所からあじさいをもらってきて、
彩り豊かかなあじさいの庭を作っている。
濃いむらさき
涼しげなみずいろ
深いあお
可憐なピンク...
どれもとっても綺麗。
よく見ると、少しずつ色を分け合っている花びらたち。
わたしもあなたも、
そんな風に今日も素敵な世界をことのはでわけあって、
世界を少しずつ広げているのかな
街という文字をみる
賑やかな住宅がならぶ道みたい
左のきついカーブをまがったら、どんな景色が見れるかな?
真ん中の道は行き止まりがいっぱいで
道路から逸れた生活圏の
きっと子供がボール遊びするのにもちょうどいい場所かな
あなたと新しい街で、新しい生活。
すべての景色が新鮮で、わくわくとしていて
きっとどの道にある人生も
にぎやかな街の景色のように過ぎていくのでしょう。
終わりなき旅の始まり
父は登山が趣味だ。
私もたまにその登山に付き合う。
父は普段運動しない娘のために、初心者でも登れる低めの山を選ぶ。
それから早起きして握ったおにぎりは山頂でもあったかく食べれるようにアルミホイルと新聞紙でくるみ、お水と一緒にリュックへ入れる。
親孝行のつもりで山に登るけど、どっちが孝行しているかわかったものじゃない。
私が父と山に登り出したきっかけは、私のひきこもりだった。
就活に失敗して、自分が社会不適合者だと気付いた21歳の夏。
辛い時、誰かと会うのがしんどい時、
しんどいといってるのに、父は無理やり私を山に連れて行った。
引きこもりの私は、坂道が苦しくて苦しくて、
息を荒くしては立ち止まり、息を整え、父の準備した水を飲む。
そんな私を父はいつも少し先で、立ち止まり、
私が歩き出すのを静かに笑って待っている。
わざとゆっくり歩く父に、私がようやく追いついたころ、
ふと、父が語りかける。
"山にくると、しんどいことが忘れられる"
"澄んだ空気を吸い込んで、もくもくと緑の中を歩いていると、気持ちよくて自然と嫌なことが小さなことに思えるから"
足元の悪い坂道をもくもくと歩きながらそんな言葉をかけられて、でも私は苦しくて、"うん"しか返事ができない。
その頃の私は、人も自分も怖くて信じられなくて、大切な人にさえ自分の苦しみを相談することができなかった。
そんな自分も嫌いだった。
でも、しんどいのは自分だけじゃなかったんだね。
あなたも、毎日強そうな顔して、いっぱい頑張ってたんだね。
もくもくと私の前を歩く背中は、私の悩みを何も話さずとも理解しているかのようで、その背中を追いかけながら私は泣いた。
泣きながら、坂道が苦しいのか、立ち止まり続けている自分の人生に向き合うのが苦しいのか、何もわからなくなった。
その後、父は私を前に歩かせるようになった。
"その方がしんどくないから"
たしかに、自分のペースで、目指す先を見つめながら進めると、少し呼吸が楽になった。
山頂に登って見渡す景色は、いつも特別。
あったかいおにぎりもカップヌードルも、何故か家で食べる何十倍もおいしいけれど、きっとその感動には苦しい坂道を自分が登り切ることが必要だった。
また別の日の登山では、彼は道を間違えて山道を外れてしまった。
"道に迷ったら、すぐ引き返すんやで"
そういいながら、父は何故か道のない笹だらけの坂道をかき分けて道を登っていく。
幸いその日の山はとっても小さな丘みたいな山で、笹まみれになりながら登っていたら山道についた。
なんでなん?って不機嫌につっこんであげたら、とっても嬉しそうだった。
私の人生の終わりなき旅は、そんな強くて繊細な父親の強引な船出によって始まった。
忙しない社会の喧騒の中で、未だに呼吸がうまくできない日もある。けど、そんな時は緑を見て深呼吸をしたら、不思議とまた前を向ける。
いつも、私の心の中には、あの緑の日々の中で感じた自分と人への信頼があるよ。
お父さん、ありがとう。
真夜中には
小さい小さい真っ黒粒子が詰まってて
私の周りを覆っている。
その一粒一粒は
今日自分がやってしまった嫌なこと
こうすれば、ああすれば、みたいな後悔や
明日はどうしよう
みたいな漠然とした楽しみとか、不安とかが詰まってて
私の周りをふわふわ漂って覆うのです。
とりとめもなく、またいろんなことを考えて
ぷかぷかぷかぷか泳ぐのです。