小さな管があった

液体がゆっくり漏れ出す管

そこに小さな石が入り込んだ

液体は漏れなくなった

蓄積されていく水が

ゆっくりと石を押して

やがて一気に漏れ出す

そんな、ささやかな気持ち。

――サメの言うことにゃ、

小さな幸せ

蒸し暑い夏と間違える春は、
暴力的な愛で歓迎してくれる。
まさに、「天真爛漫」だ。

――サメの言うことにゃ、

春爛漫

春一番の街景色

開花の季節のスプリングロード

華々しい花々のラッパ吹きが

新しい季節を歓迎する

喜びの歌を歌う花壇に

十人十色の通学路

晴れた心はそのままに

高鳴る気持ちで歩き出す

――サメの言うことにゃ、

七色

この脊椎は留まることを知らない

無限に繰り返すフラッシュバック

トラウマは私を蝕んで

恐怖と絶望で包み込んでくる

寝ることも出来ない拷問のような

恥を晒すことになる辛さも相まって

あぁ、今日もまた始まってしまう

あの、思い出すだけで笑い死にそうになる動画が

――サメの言うことにゃ、

記憶

白だけの部屋で腐り果て

記憶の景色しかもう信じられない

眼は開ける機能を忘れた

その口は言葉を発することに飽きた

腕と脚は血が通ってるのかも分からない

この心臓は動いているのか？

意識があるのか無いのか分からない

この脳だけは、いつまでも信頼できた

――サメの言うことにゃ、

もう二度と