覚悟を問われているのか
あるいは値踏みをされているのか
試されているのだろうか
暗く泥んで、澱んだような目を覗き込めば
貴方が口角をふっと上げて
挑発するように笑う
何もかも捨ててこちらへ堕ちておいで、と声もなく
誘うように 私を見つめる
全てを引き換えに飛び込みたくなるような夜
私は目を閉じて ミルクティーの舌触りに逃げ込んだ
お題:君の目を見つめると
星が好きだ
星についている名前が好きだ
星座が好きだ
その星座たる所以を聞くのが好きだ
糠星という言葉が好きだ
きっと一生実物を目にすることはないだろうけど
その言葉に想いを馳せるのが好きだ
プラネタリウムが好きだ
作り物の星でも私は好きだ
その中でポラリスを探すのが好きだ
そのための柄杓星がそもそも見つからないけれど
私は私のポラリスをずっと探している
絶対に変わることのない道標を探している
星の下行く人間はきっとみんな迷子なんだろう
みんなポラリスが見つからないまま
「正解」よりも「感じたままに」道をいくんだろう
私だけがポラリスをまだ探している
紛れてしまう糠星なんてない空なのに
たった一つの星が いつまでも見つからない
お題:星空の下で
君は私に好きだとは言わない
私が好きだと伝えると、少しだけ口角を上げて
「知ってる。」とだけ伝えてくれる
私は知ってる
貴方には今、誰も好きな人がいないんだ
だから、手近にある私の温もりを手放せない
君は孤独が嫌いな、幼い少年なんだ
いずれはこの手を振り解いて どこかへ行ってしまう
お題:それでいい
貴方の死には
私の涙を贈ります
綺麗な涙壺に入れて封をして
貴方の心臓のすぐそばに置いておきます
どうぞ持っていってください
此岸の土産の一つとして
お題:1つだけ
あるいは海をも作り得るだろうか
諦めたものを集めたら
指の隙間を溢れたものを集めたら
知らず知らずに過ぎ去ったものを集めたら
そっと手を開く
何がこの中に残ったろうか
わずかばかりに光り輝くものたち
いつかこれらも指をすり抜けるだろうか
どんなに固く手を閉したとしても
失くし物の海は
いつか貴方の裸足の指を擽る波になるだろうか
ただ一時 取り溢した貴方が私を思い出すための
尽きない祈りの細波が輝く海に
映り込む月は果たしてあったろうか
もしくはそれが 貴方だったろうか
瞼の裏に 一度 思い浮かべたならば
貴方が今でも 私の中できらりと光を翻す
お題:大切なもの