世界中の耳が傾けたこの音楽を
目を覚ますまでに忘れてしまうなんて
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ある作曲家の寝言
病室
自分が患者であって
症状が回復さえすれば
紫外線や虫が気になる南の離島よりも
店員さんの目が気になる雰囲気の良い喫茶店よりも
本を読むのに没頭できる場所
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結局退院の2日前程度の話で、それまではそれどころじゃなくしんどいので勿論入院せねばならない事態にはなりたくないです。
点滴されている腕も邪魔ですし。
でも、入院中に読んだ本って結構覚えてるんですよね。不思議。
最初の入院はミヒャエル・エンデのモモでした。時間どろぼうの話を時間をかけねば治らぬ闘病中に読んでいる自分がなんだかおかしかったな。
下駄や靴でする天気占いを知らぬ子らが、ブランコから靴を飛ばして遊んでいる。ようやく持ち手を持てる熱さになった時間にも、夕立を告げる積乱雲の影はない。
(あーした てんきに なぁーれ!)
暦の上では「大雨時々に降る」の季節らしい。昔はなかった季節を生きる私の頭に響く記憶の声をそっと上書きして祈る。
(あーした ゆうだち ふーれ!)
明日、もし晴れたなら、靴でも洗おうか。
晴れを楽しみできる気持ちを頑張って育てて、冷房の効いた家へと子の手を引いて帰る。
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正確には、大雨時行…たいう ときどきに ふる と読むらしいです。夕立が少なくなりゲリラ豪雨が増えたとの文章も数年前からいくつもありました。大きな災害になりませんように。
日本には上記の履き物による天気占いやてるてる坊主と言った天気に関するおまじないがありますが、外国にはないのかなと昨夜は検索祭りをしてしまいました。気候の違いかあまり天気に関するものは見つからなかったのですが、アメリカ南部の方にあるという結婚式の日が晴れるようにバーボンの瓶を埋めてお願いをするというジンクスはなんだか味があって面白かったです。当日に掘って開けて飲むんですって!
あなたがどうでも良い人では無いから 一人にして欲しいの。
あなたが大切な人だから、抱きしめた後、隣の部屋で静かにしているの。
明日の朝、挨拶しようね。絶対だよ。
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漫画等でたまにある友情のシーンに、「悲しい時に黙って側にいてくれた」というのがありますよね。あのシーンに自分には無いものを感じて憧れながらも登場人物のどちらにも入り込めずに今まで来ました。
大切なものを失った時、大きな挫折を味わった時、毎度の如く死にたいような自己嫌悪に囚われた時、それに荒れ狂う怒りに囚われた時。私にもそんな時はあるし、大切な人にもそんな時はあります。
私がそんな心の時に側に誰かいれば、その人に理不尽なことを言ってしまうかもしれない。慰めを強要してしまうかもしれない。それならば一人でいたいと思うのです。
逆に大切な人がそんな心の時には、側に居たい、自暴自棄にならないで欲しいという気持ちと逆に気を遣わせてしまうからダメだという気持ちが闘うことになります。だってあなたは私が居たら無理に笑いそう。下手な解決策を言ってしまいそう。
できれば犬や猫になって、寄り添いたい。あなたを一人にしてあげたい夜もある。
1人と1匹なら、良いよね。
澄んだ瞳のその先は 伏し目がちなあなたの秘密
子どもの頃、祖父母のうちに置いてある日本人形が怖かった。とても艶やかな振り返り美人さんだったけど、振り返った伏し目がちな瞳のその先に何かがいるような気がしてならなかったのだ。
この美人さんを作った方はその視線を捉えにいったりしたのかしらと大人になって思う。あなたの理想を体現した美人さんは正面から見る客とは決して目を合わせないのだ。こちらを見るのが恥ずかしいから逸らすのか、視線の先が堂々と見れないからそっと振り返るのかと妄想する。
その先にあるのは、枯れ尾花か、憧憬か、背徳かそれとも。