あの子の姿を追うあの人の横顔なんて
目に入れなければよかったのに
あの子の話をするあの人の口の端なんて
気付かなければ良かったのに
あの子の視線の先にせめて
あの人がいたら諦めがついたのに
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犬をはじめとした動物が大好きなあの人は、驚く程にその動物達に塩対応される才能を持っている。
今日も犬と触れ合えるカフェに連れてこられたのだが、彼女の周りには蜘蛛の子を散らす勢いで犬が居ない。私が顔をべろべろ舐められているのにも関わらずだ。
実は私は寧ろ動物は苦手なのだが。
こちらを睨むのは、やめてほしい。
できればあの子を見る熱意の半分でもその視線に込めて欲しいなと独りごちた。
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※フィクション
あの子=犬
あの人=動物好きな女性
私=女性に好意を持っているが故に動物好きなフリをしている男性
三角関係を書こうかな、ありきたりかなと思い悩んでいたら、いつのまにかミスリーディングものになりました。
私だけは、私を好きが良い。
私だけは、私の味方でいよう。
私だけは、私を褒めるべきだ。
そんなよくある言葉にずっと憧れて
ずっと実践できずにいる気がしている。
そんなことを意識しなくたって、
私は十分自分勝手だろと
ツッコむ「私なんか」と争いながら
私を考えずにいられる時間を探している。
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カレー鍋にこびりついたカレーのおこげ的なものを鍋を抱えて食べるのを許されるのは、カレーを作って後片付けする私だけだと思っている。こそげてパンにつけても、ご飯で炒飯的にするのも美味いよねぇ。
ま、人前ではしませんけどね!
ゲームの格闘技をかけてくるか
やたらとくすぐってくるか
バーカバーカと言ってくるか
いつもろくなことをしてこない兄
その兄が、
悪夢を見て泣いている私の頬を
無言で拭ってくれたあの日の真夜中
遠い日の記憶
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あまりにいつもの兄らしくなくて、今でも半分夢だったんじゃないかと思っている。
あの時の月が綺麗だねは、I love you だったの?
ぎこちなく 急かす蝉鳴く 梅雨明けや
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蝉が、遠慮がちに鳴き始めた。例年より遅めにずれた梅雨を、終わりにしましょうとばかりに。
…遠慮があったのは最初だけでしたね。
虫が好きな子の家族には、夏至より早い夜明け(暗いうちに起きて早めに公園へ行くのです)が始まりますね。
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泥中の 蓮が花咲くは 泥中故
心中渦巻く 泥の中 言の葉広げ 探す花の芽
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16日で七十二候「蓮始開」が終わってしまうので。