小絲さなこ

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5/14/2024, 1:38:05 PM

「ゴール」


みっともないくらい色々なことに逆らっても、ろくなことにならない。
少なくとも、俺の場合は。

ゆるゆると流れるように、たどり着くのもまた運命だと思う。
遠回りだとしても、ゴールは同じだと信じたい。


「つまり、何が言いたいわけ?」

あなたの話は長いのよ。
そう言いたそうな君を焦らす。
さすがにこの先のセリフは、追いアルコールしないと小っ恥ずかしい。

「結局、俺たちはこうなる運命だった、ってことだよ」

出会って、付き合って、別れて、数年後また出会って……

「だから、そろそろ婚姻届書かないか?」




────風に身をまかせ

5/13/2024, 2:27:36 PM


「好きだったひと」



諦められなかった三年間。
会うのが怖い一方で、数十秒でも会いたかった。

あの子を見るあなたの視線に、胸を痛めるとわかっているのに。

あなたの想いが叶わないことが苦しい。
そして、私の想いも叶わないと思い知る。

それの繰り返し。


前進しない恋の連鎖。
諦めれば楽になれるとわかっていたのに。

やっぱり私とあなたは似ている。
諦めが悪いところさえも。


このままではいけないと、会わないと決めて、忙しいふりをして、物理的に距離を取った。
忙しいふりが本当の忙しさに変わり、気がついたら季節が巡り数年。

あなたのことを考える暇なんて無くなってしまった。


ちらりと覗いたSNSで、近況を知った。

あなたはあの頃のまま。
あなたは今でもあの子のことを見ている。

私が捨てたあの頃の気持ちを今でも持っているあなたが、眩しい。


どうか、あなたの想いが届きますように。





────失われた時間

5/12/2024, 2:21:33 PM

「これは君が望んでいること」



ずっとこのままでいたいと思っていた。
ふたりの関係も、お互いを思う気持ちも、ずっとこのまま変わらないと信じていたんだ。

だけどいつの日か、変えたいと思い始めてしまった。

もう、ただの幼馴染という関係では嫌だ。
友達という関係のままでは嫌だ。

そう思うようになってから、少しずつふたりの視線がズレていった。

君はずっと変わらないことを望んでいる。
この先何年経っても、ずっとこのままでいよう、と君は言う。


だからまだ、俺はあの頃と変わらないフリをしている。

君はそれが気に食わないようだ。
怒られる筋合いはないなぁ。
君を女の子扱いしないのは、半分は君のせいだ。


俺に女の子扱いされたいと思うなら、その理由をちゃんと考えてほしい。
ずっとこのままでいたいと、逃げたりしないで。



────子供のままで

5/11/2024, 3:16:48 PM

「ずっと言いたかったことを、今」


「しばらく行けないだろうから」
そう言って、子供の頃によく遊んだ河川敷を歩く。

会いたくなくても会える。
そのことが、どれほど幸運なことか。
もうすぐ、君に毎日会えなくなる日々が始まる。
耐えられるだろうか。
ふたりの関係も、この心も。

幼馴染という関係も、一番の友達という関係も、今日で終わりにしたい。


「近過ぎて届かないことってあるんだな……」
言うつもりがなかった俺の独り言。
泣きそうな顔をしている君に、息を呑む。

懐かしい風景は、気持ちをあの頃に戻すのだろう。

何も言わなくても思いはひとつだったあの頃。
成長するにつれ、言わなくてはならないこと、言わない方がいいことが増えて、本当に言いたいことだけが、どうしても言えなくなってしまったんだ。

だけど、今なら……

「ずっと、ずっと言いたかったことがあるんだ」


今言えなかったら、きっと一生後悔すると思った。



────愛を叫ぶ。

5/10/2024, 1:49:41 PM


「蝶のように舞う、あいつ」


ひらひら。ふわふわ。へらへら。
あっちへ行ったり、こっちへ来たり。

捕まえようとしても、ひらり。
確信を突こうとしても、ひらり。

花畑を舞うような、あいつ。


ひらひら。ふわふわ。へらへら。
あいつは誰にも本気にならないの。
誰もあいつの口説き文句を本気にしてない。

ただ、あたしだけが、あいつに手を伸ばしてる。



────モンシロチョウ

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