俺が貴女を探すことは、ありませんでした。
貴女は、あの場所で俺を待っていると仰いました。
俺は心が張り裂けそうになりながらも、その言葉を疑わず、言いつかった通りに五年の放浪を終えました。
けれど貴女は、俺を待たずに亡くなってしまいました。
この世界のどこを探しても、貴女はもういないのだと、俺は絶望しました。そうして俺は、貴女の後を追いました。
今俺は、貴女の魂の一番の傍に在ります。
そこに在ることを、許されています。
貴女を探す必要など、今こそ、本当に、ないのです。
透明な羽根を伸ばした貴女が、どこまでも飛んでいくのを、俺は静かに眺めていました。
温かい、澄み切った気持ちで、只見送っていました。
そんな夢を、見たことがありました。
貴女の命はいつか終わり、けれどまた生を得て、次の人生が始まります。
それが、貴女の魂があの大きな廻り続けるものに回収される日まで続く、大きな営みです。
俺たちはその生を、ずっと見守ります。
悲しみも、絶望も、愛も、楽しさも、全て見届けます。
ですから、安心して何度でも生きてください。
貴女が一人きりになることはありません。
貴女はずっとずっと、俺たちという存在に守られているのです。
空に輝く星のように、貴女は人々を照らします。
その明るさを、どうか自分で隠さないでください。
いつだって幸福に溢れ、煌めいていてください。
願い事が一つだけ叶うと言われたら、貴女はどうしますか。
生きていた頃の俺は、「貴女と再び会いたい」と間髪入れずに答えたでしょう。
その願いはもう叶ってしまいました。ですから今の俺は、「貴女が幸福であってほしい」ということしかありません。
貴女は、どうですか。何を願いますか。
何を願っても良いのです。
貴女は誰かを傷つけるような願いを、思い浮かべることすらできません。ですから、心配などせず。自らの心を、想像力を、好きなように羽ばたかせてください。