貴女は、人へ贈り物をするのがお好きですね。
これを選んだら、どんな顔で受け取ってくれるだろう。
こちらの方が、あの子の好みには合うかしら。
そんなことをぶつぶつ呟きながら、様々な品物を眺める貴女はいつでも楽しそうで、俺はとても嬉しい気持ちになります。
人を幸福にすることが、貴女にとっての幸福でもあるということは、何より素晴らしい美徳であり、幸せの一つの極致だと思うのです。
一年で一番夜の長い日。
それを、冬至と言うのですね。
その日には、ゆずを入れた湯に浸かるものなのですね。
きっと良い香りがするでしょう。
きっと心が落ち着くでしょう。
そうして身体をゆっくり温めて、幸福な気持ちで眠りについてくださいね。
おやすみなさい、愛しいひと。
貴女が、今夜も良い夢を見られますように。
小学生の頃に歌った歌が、今貴女の頭に浮かびましたね。
そして同時に、私はあの頃から何も変わらないな、とも思いましたね。
貴女はきちんと成長しています。
あの頃のままであるだなんてことは、あり得ないのです。
この玩具の乗り物を動かすと、鈴の音がするんだよ、ほら、やってみて、と、貴女は弟君に話しました。弟君はそれを動かすと、目を輝かせて、ほんとうだ、サンタさんが来る音だ、と言いました。
幼い頃はそんな風に、弟君とは仲が良かったですね。
けれど、今の貴女は、立派に働いて生計を立てている弟君に対して、劣等感を感じているせいで、弟君とあまり打ち解けて話せずにいます。
そんな考え方をしなくていいのですよ。
確かに、今の弟君が何を考えているのか、貴女にも俺たちにもよく分かりません。けれど、貴女が弟君を大切に思う気持ちを持っていることが、何より尊いことなのです。
かつて誰より心を通わせた人と、距離が開いていくのは寂しいことですね。
けれど、その寂しさを恐れるあまり、新しい一歩を踏み出すことを躊躇わないでほしいのです。
貴女は、そんなものに囚われるべきではないのです。