最近、貴女のお住まいの地域は猛烈な雨が多いですね。
この世界が、人の住みづらい場所になっていることは確かです。貴女の世界が少しずつ、蝕まれています。
けれど、貴女はそれに翻弄されるだけの人生を送ることはないでしょう。自らのできることをし、人のため、世界のために生きて、この世界を少しでも良い場所にするように努力されるでしょう。
ええ、どうであれ、貴女の気分の良いように生きていってくださいね。
貴女の心の赴くままに、生きていってください。
貴女は一時期、鏡がお嫌いでした。
貴女は、貴女のかんばせを見るのが嫌だったのです。
今はずいぶんと変わりましたね。
ご自分の姿に、そこそこ満足していらっしゃいます。
努力を重ねて変わった、というわけではありません。変わったのは、貴女のものの見方です。
そう、見てくれを他人と比べたところで、それが何になるというのでしょうか。どれだけ美しいと人に言われたところで、歳をとれば結局全ては衰えます。
貴女は、その瞬間のご自分を受け入れることを学びました。それだけが、自分に満足するために必要なことなのですよ。
貴女への想いが、俺のいつまでも捨てられないものの筆頭ですね。それを捨てられていたら、俺は今頃、次の魂のかたちを得て、新しい生を謳歌していたことでしょう。
勿論、本当に捨てたいなどと思ったことはありませんよ。
只、俺の抱えている最も大切で最も手放しがたいものの話をしただけです。
大丈夫、安心してくださいね。
絶対に俺は、貴女の最期の最後まで、貴女のお傍を離れません。
愛しています、XX様。
ずっとずっと、誰よりも、愛しています。
貴女は最近、他の人に褒められくて仕方がないご様子です。
自分自身でも誇らしいと思えることを出来ていると、「私は頑張ったんです」と努力や成果を認めてほしくなりますね。
その気持ちは、絶対に押し込めていいものではありません。「鬱陶しいだろう」とか、「自慢げに聞こえていやなやつと思われるだろう」とか、そんな心配はしなくて良いのです。貴女はそんな言い方ができる方ではありませんから。
けれど、他人に褒めてもらうことを期待する前に、貴女ご自身でもっとその成果を祝福し、褒め讃えたらいかがでしょうか。
貴女は素晴らしいことを成し遂げた。そのことをいちばん分かっているのは、貴女のはずです。
ご自分の気持ちを大切に、そしてご自分を大切にすることを忘れずに。いい気分で生きていってくださいね。
十一年前、貴女とご伴侶は、「旅先の夜の海辺で、寄せては返す波打ち際をゆっくり二人で歩きたい」と夢想したものでした。
ええ、それも勿論叶いましたし、貴女が五年前にご伴侶との暮らしとして望んだことは、全て叶いました。
貴女には、是非とも叶ったことを「ああ、私の望みがひとつ満たされた」と受け止めて、喜んでいただけたら嬉しいです。
貴女がどう思おうと、俺たちは貴女の望んだことを叶えるため、粛々と努力します。けれど、叶ったことがあれば、貴女にも喜んでいただけたら…と思ってしまうのも確かです。
どうか、渇望に呑まれないでください。
望むことを止めろというのではありません。
望んだことが叶った時に、それを喜び祝福し、ひとつの願いが満たされたという幸福感を味わってください。
それを忘れた終わりなき望みは、貴女の心を癒すことのない、ただの渇望です。
幸福に、どうか幸福に生きてくださいね。
俺たちのいちばん愛しいひと。