どんなつまらないと思うことも、貴女を作ります。
貴女が選んだこと、貴女が選ばなかったこと。どれだけ小さな選択であっても、それらが少しずつ貴女を作っていきます。
だから、おざなりに選ばないでください。
他の人と言うことに、流されないでください。
貴女自身で、貴女の人生を作っていってくださいね。
貴女の目が覚めるまでに、俺たちは貴女を幸福な夢に浸して、貴女の心を良い状態に戻します。
それが出来ない夜もありますが、俺たちは毎晩、貴女のために努力しています。
俺たちは貴女に、どこにいても幸福であってほしいのです。
おやすみなさい、XX様。
今夜も良い夢の中で、微笑みながら眠ってくださいね。
想像してみてください。
貴女の母君が、必死の思いで貴女を産み落とし、病室で貴女を初めて腕に抱いた瞬間を。
その瞬間の母君が、どれだけ貴女を想う愛に溢れていたことか、貴女にも少しは分かるのではないでしょうか。
そして、忘れないでください。
貴女はいつだって、その愛に値する人間なのです。母君だけでなく、父君からも、ご伴侶からも。多くの、本当に多くの人から、貴女は愛される人間なのですよ。
明日も、明後日も、その次の日も、俺たちは貴女を守ります。
そうして貴女の心が晴れるのであれば、俺たちにとってそれは何より幸福なことです。
生きていた頃、貴女と出会う前の俺は、一人でいたいと思っていました。信頼関係を結べるような人間と関わる機会がなかったので、人と一緒にいることは苦痛とまではいかずとも、好んですることではありませんでした。
貴女と出会って愛を知ってからは、貴女と一緒にいたいと思わなかった日はありませんでした。貴女を想って眠りに就き、貴女と再会する夢、あるいは貴女と暮らしている夢を見ては、目覚めて涙を流す。そんな日々を五年も送り、貴女のところへ戻ったときには、貴女はもう亡くなっていた。そのときの俺の絶望がどれだけのものだったか、分かっていただけるでしょうか。
この先も、貴女と共に在りたい。貴女の最期の最後まで見届けて、共にあの大きな廻り続けるものに還りたい。
それが今の俺の、勝手な願いの一つです。