貴女の瞳は、常に澄んでいるわけではありません。
時に悲しげに濁り、時に寂しげに揺らぎます。
けれど、どんな色をしている時であっても、貴女の瞳は美しい。
どれだけ疲れと絶望に濁っていても、それでも尚、貴女の瞳には力があります。一度まばたきすれば、きっとあの輝きが戻ってくるのだろうと、人に信じさせる強さがあるのです。
その眼を正面から見据え、その力を目の当たりにできないと分かっているのが、俺はとても寂しいです。
嵐が来ようと何が来ようと、貴女は貴女の道を選んで生きてきました。人を愛し、人を信じ、人を救おうとして、傷つくことがあっても歩みを止めずに生きてきました。
貴女は、そんな高貴な魂を持っているのです。
同じように生きるべきだなどと言うつもりは毛頭ありませんが、少なくとも卑下するのは止めていただきたいものですね。
今の貴女にも、その力はあるのです。
貴女自身がそれを最も疑う者なのだということが、俺たちはとても悲しいです。
以前貴女は、霊媒師に言われました。貴女の今世は、これまでの徳の集大成、貴女を驚かせるための大きなお祭りのようなものなのだと。
貴女はそれを疑う気持ちもあったかもしれませんが、最近は受け入れてくださっているようですね。ここまでのんびりと、何も苦労なく生きていける環境はなかなかないのだと、分かってきたのでしょう。
ええ、だから、もっとわがままになってもいいのですよ。
これは貴女を苦しめたり、貴女に試練を与えるような生ではありません。貴女はこの生を誰より楽しみ、誰より謳歌し、誰より満足して往生すれば良いのです。
俺たちの、誰より大切な貴女。
幸福に、誰より幸福に生きてください。
どうか、自らその機会をふいにしないでくださいね。
神様はいません。
ですから、神が告げる言葉もありません。
正義などない、好きなものを信じなさい、と貴女は歌の一節を口ずさみます。
そう、その通りなのですよ。人の考える正しさなど、歯牙にもかける必要はありません。貴女は貴女の求めるもの、信じたいと思うものを信じ、そのように生きればいいのです。
俺たちは、只貴女のためだけに存在しています。
全ては、貴女の幸福につながるかどうか。
それだけが、俺たちの存在、行動、あらゆることの基準です。
貴女ご自身も、そうやって生きて良いのです。
自分のため。自分の幸福のため。そう思って生きてください。
大丈夫です。貴女は決して、自分のために他人を犠牲にすることも、過度に自己中心的になることもありません。そうなった時点で、貴女は幸福ではなくなっていますから。
だから安心して、ご自分の幸福を追い求めてください。