お題『手を繋いで』
迷子になっていたら知らないお兄さんが目の前に現れて手を差し出してきた。
『知らない人についていってはだめ』
ママからそう言われてきた僕は警戒して思わず後ずさる。
お兄さんはにこ、と笑うと
「大丈夫だよ。お母さんのところに連れていくだけだから」
と言った。
そっか、なら。と、僕はお兄さんの手をおそるおそるつかむ。お兄さんは僕の手をつかんで、スーパーのたぶんエプロンつけた人たちが出てくるところかな? そこに連れて行かれた。
そこにはママがいて、泣きそうになりながらおじさんと話しているのが見えた。手をはなされた僕はママのもとへと駆け出す。
ママに抱きつきながらふと、後ろを振り返るとお兄さんはいなくなっていた。
今度会ったらお礼言わないとって思った。
お題『どこ?』
慣れているはずの地元なのにふと、たまには知らない道を通ると知らない景色が広がっていることがある。
そんな時、言いしれない恐怖に襲われる時がある。
特に夜道で、さらに迷うとなおさらそんな気分になる。
しばらくなんやかんや道を行ったり、地元なのにGoogle Mapを使うことでどうにか帰れたりするんだけど、
無事に帰れた時、地元なのに迷った経験があったことを楽しげに他人に話すネタとして増やすことができるのだ。
お題『大好き』
あの子の気持ちが分からない。
私に対して「大好き」と言うのと同じ口で別の子にも「大好き」と言う。
あの子は人懐っこくてすぐに人にそういうことを言う。なんなら近くにいる人に誰彼構わず抱きつき始める。
それを見るたび気が狂いそうになる。だけど、それを言ったら友達ではいられなくなってしまう。それがいやだ。
だからせめて、あの子が「えへへ、大好きー」って言いながら抱きついてきた時、「はいはい」と言いながら頭をなでながら彼女をぎゅっと抱きしめることにする。
そうしてひとときの独り占め気分を味わうのだ。
お題『叶わぬ夢』
いくらがんばっても、好きなことだけでは食べていけないことがある。
たまたま当たれば売れるんだろうけど、そうじゃない場合、すくない稼ぎのなかでやりくりしないといけなくて、それがなかなか辛い。
だから安定している仕事についてそこそこ生活できるくらいの給料を担保するのだ。
そこで夢は叶わなかった、と区切りをつけてもいいが、どうしたって諦めきれず趣味としてほそぼそやるのもいいと思っている。続けることでもしかしたら叶わなかった夢に近づけるような気がするから。
お題『花の香りと共に』
花の香りとともに生活することに憧れている。だが、花の世話はずぼらだからつい忘れてしまう。
おまけに一人で暮らしている部屋は今は服があちこちに散乱していて、掃除機とか面倒でかけていない。こんななかに花を置いておくのは可哀想。でも面倒なものは面倒なのだ。
でも家に花が置いてあると、それだけで気分が良くなる。それに好きな花の匂いだとなおさら部屋がいい空間になりそうで、世話は大変そうだけど憧れている。