お題『冬は一緒に』
「夏こそはそっちに帰ってこれるから」
「あ、ごめん。やっぱ帰れなくなった。年末こそは一緒に過ごそうね」
「ごめん、仕事が忙しくて……年末も帰省できそうにないや。でも春こそは」
こんなやりとりをずっと続けてさすがにもう疲れたなと思う。遠距離恋愛してる彼氏の近況はなんとなく知ってる。Facebookでそこの勤務地で出来た同僚といる方が楽しすぎて、その写真をいくつもアップしてるから。
「あぁ、夏は同期とハワイへ行くからお金ないんだな」
とか
「たしかに残業が多いのは事実だけど、そのわりに飲み会多いよね」
とか、そういうのが分かってしまう。たぶん、帰るのがめんどくさいんだろう。
だから私、腹を決めた。他にいい人を見つけて、その人からの好意が確定したら、いま付き合っている帰ってこない彼氏に別れを告げてやろう、と。
私は、さっそくマッチングアプリをスマホにインストールし始めた。
お題『とりとめもない話』
とりとめもない話、というのを書くのが正直難しいと思う。特に小説では。
そういうたぐいの話を書いてて読み返して、果たして読者としての自分が楽しめるかどうかってなると答えは『否』だ。
真面目にストーリーを考える時、ぜったいに盛り上げるところを物語に設けて、ジェットコースターのように緩急をつける。そうしないと読んでる自分が満足しないからだ。
だから、とりとめもない話を書いてそれをちゃんと面白く出来る人の話を読むと、嫉妬しながらも面白いと思って尊敬するのだ。
お題『風邪』
若い頃、まだ腐女子になりたてだった時期に推しカプの体調不良の小説やら漫画やらを読んで、
だいたいそういう話ってベタな展開に発展することが多い。だが、そういうのを読んで興奮し、何度も読み返した記憶がある。
今、長年オタクをやってて体調不良ネタよりも萌えるシチュエーションに何度も遭遇したし、内容があるものを好むようになった私は、あまり体調不良ネタを読まなくなってしまった。
だが、推しカプで検索するとサジェストに「体調不良」と出てくるからずっと廃れないネタなんだなと思う。
まぁ、年季が入ったオタクやってる私も気持ちはすごくわかる。
コホコホ咳して、布団の中、熱でほんのり頬を赤らめながら弱っている推しの姿って栄養価高いよね。
お題『雪を待つ』
東京は雪があまり降らない。そのことをお母さんが教えてくれた。
北海道とか、新潟とかが一面の雪景色に包まれているのを見て、なんとなく羨ましいと思ってしまう。
東京の場合は、なんていうか『季節風』が山を越えないと雪が降らないらしい。たしかそう学校の授業で教わった。
前に雪が降った時は、ベランダにちいさな雪だるまを作ったっけ。すぐ溶けちゃったけど。
今年は雪が降るといいな。もしたくさん雪が降ったらかまくらを作るんだ。
お題『イルミネーション』
昔付き合っていた人が言った。
「イルミネーションなんて、毎年一緒じゃん」
って。
たしかにその通りかもしれない。でも、当時の私は『みんなと同じように』『人ごみに紛れて』『彼氏とイルミネーションを見る』という経験が出来ただけで浮かれていたから、その言葉にアハハと笑って返すだけだったと思う。
だけど今はもう恋人たちの群れを見てもなにも思わない。イルミネーションは元彼が言う通り毎年同じような装飾ばかり。
そんな乏しくなった自分の感性に年齢を感じて、すこしだけさみしい気持ちになるのだ。