部屋は狭い方がいい
家賃は安く住むし、無駄に広い所為で孤独を感じないで住む
エアコンはすぐに効くから電気代だって節約できるし、そもそも人間の活動にそんな広い部屋は必要ない
だから僕は畳四畳半の部屋を借りた
僕は窓が嫌いだから、この部屋に窓はない
まずはベッドを買って
エアコンを設置して
ハサミを買って
ロープも買って
目隠しを買って
手錠を買って
「ようやくお楽しみだね。」
目隠しをしたまま暴れ回る彼女の腕を力強く掴みながら、ベッドの柵と彼女の腕を手錠で繋げる
僕は暖房のスイッチを人が死なないギリギリのラインの温度で入れた
「これから、ずっと一緒だよ。」
僕は彼女の上着にハサミを入れて、露わになった彼女の全てを端から舐めるのだった
終わりなき旅
この先、どれだけ進んでも、君の思うようなゴールはきっとどこまで行ってもないはずだ
この先は、君にも私にも誰にもわからないのだから
そうだろ? 今までも予想通りのチェックポイントなんてなかったろ?
辛い? もう辞めたい?
いいよ、辞めても
確かにここで足を止めても誰も君を叱る権利なんてないし、それも自由さ
でもね? ここで足を止めるというのは、この先に待つ不確定な未知を手放すということさ
この終わりなき旅に終わりをつけるというのは......
まぁ、いいさ。
しかし、もし辞めたい理由が、隣の旅にあるのなら、今は踏みとどまって欲しい
隣と君は旅の速度は違うから、いつか隣ではなくなるから
君の旅は君だけのものだから、誰にも汚す権利はないから
この終わりなき旅は、君だけのものだから。
いつからかこれが口癖になって、それから人生が楽で、自分の物で無くなった。
どこに行っても、私は謝る側の人間で、そうしていれば、それ以上嫌な思いをしないで済んだ
ただ、最近心が......なんだか寂しいような、なんだかおかしのだ
どこに行っても謝る側で、いつでも自分は下の方で、そのうち自分は誰にも求められないし、愛されないのだと悟った
それからだんだん、自分も自分を愛さない、無碍に扱うようになった
そのまましばらくして気がついた
もう生きられないと
この人生は重要な部品が欠落していて、それはもう手に入らないと知った
だから、死ぬことにした
一通りの相手にさよならをラインした
たった一人、死なないでってラインが帰ってきたけれど
一言返して私はロープの輪の中に首を通して、最後の椅子を蹴飛ばした。
「ごめんね」
降りやんで欲しくないな.......
このままこの雨が降り続けてくれれば、今日も何もできないままでいる私を肯定できる。
母が帰ってきた時、「雨降ってたものね、また晴れたらね」って、今日の私を許してくれる
そんなことを言って、私はもう三年は部屋を出ていない
ねぇ、神様......私は......なんの罰でこんな生き方しかできないのですか......なんの罪で、私に生まれてしまったのですか......
まだ、足りていませんか......まだ苦しまないといけないのですか......
どうか......償いが終わりましたら......直ぐに私を殺してください......
どうか......どうか、余計な希望も救いも私に与えないでください......
償いが終わるまで......私は私をまっとうしますから.......
......あっ......日差しが眩しいな.......
ごめんね、さようなら
この言葉を人に向けてはなったのは、もう何回目だろうか
それでも私は、こんどもそう言わなければならない
ごめんね、さようなら
私の人生は一度きり、私は妥協をしたくない
だから
ごめんね、さようなら
見つからないな......
あなたに会いたい