カオル

Open App
9/9/2023, 8:00:39 AM

この胸のときめきは

なんだか久しぶりのことで
まさかこんなことでって
驚いています

なんだろう 
ただ 笑っている声で
ぼんやりとした顔で
友達と歩いている姿で

本当にただそれだけで

実は
歌がうまいこと
勉強ができたこと
口が悪いこと
友達の前では すぐにかっこつけること

あなたを見ていて知りました

あなたがいてくれるだけで
今は生きるのが楽しい


あなたには
つたわらなくても

今はいいかな

この胸の鼓動を
伝える言葉が見当たらないから

9/7/2023, 2:20:56 PM

ベッドから 降る雪を じっと見る
ひらひら 風に舞う雪は 
暖かい部屋の窓から見るには ただ美しくて

雪を降らせる雲は 雪の色だ

ふるさとに帰り 久しぶりに見た雪は
昼とも夜とも 降り続く

北陸の人は 我慢強いんだって
雪に閉ざされた 冬を越えるから

誰に言われたんだっけ

強い風に舞う雪を 
ただ 美しいとだけ思えるほどには
ふるさとから離れてしまった

ひらひら この雪は
私をうんざりさせるのだろうか

それでも私は 美しいと思えるか

つまらないと 飛び出した ふるさとは
遠くか 近くか

美しいか うんざりか

ふるさとの雪は ただ 舞い踊り
明日の気持ちを 占う




9/6/2023, 3:11:32 PM

さあ 始まりだ
一歩先へ 前へ  
腐った1日は この時間をもって終了だ

午前零時の鐘は 
昨日の僕とのお分かれを告げる 
泣いた時間も終わりだ  
憤った時間も終わりだ

超えてきたはずだ
試練のときだ
今が壁だ

悔しくて泣いた夜
何も手につかなかった朝
無駄に天井を見ていた昼

明日が来るのがこわい夜
でも

さあ 終わりだ
明日は また 戦いに行くんだ
笑えないことばかりだけど
無理をしてでも笑うんだ
お前は馬鹿だと言われて
悔しい顔をしたら 僕の負けだ
 
やるべきことは
夢を語ることだ

言い訳するやつには 夢はもったいないだろう

始まりの鐘は
こんな深夜に うなり 鳴る
聞こえたんだ 始まりを告げたんだ

9/5/2023, 4:56:16 AM

あなたには、きらりとするものがある

そう残してくれた先生。
長い髪の、背の高い、ちょっとハスキーな
眼鏡の似合う、先生。
みんなは、こわい。とか、暗くてつまんない。とか
言っていたけど、私は先生の授業が好きでした。
淡々と紡がれる言葉は、国語の授業にしては、妙に薄くて。文章を味わえ、感じろ、なんて野暮な横槍もなく。自由に考えられる時間でした。
時々答えを求められる問は、なかなか難しくて、みんなは、わかりません。しか言わなかったけど。四苦八苦して答える私には、いつものハスキーな声で、

当たらずとも遠からず、かな

お決まりのセリフを言ってくれました。
否定しない、ヒステリックに正解を押し付けない。
国語の無限さを、先生に教えてもらえました。

卒業アルバムに一言下さい、差し出した真っ白のページの隅に、書いてくれた言葉を

私でいいの?と、珍しく表情を変えて、サインペンを持ち直してくれた横顔を

私は忘れずに 

教師になりました。
先生みたいなクールな教え方はできないけど、
私は今日も、必死に考える生徒に言うんです。 

当たらずとも遠からず、かな

そして、別れゆく生徒には

あなたには
きらりとするものがある 
と。

9/3/2023, 12:40:47 PM

捨てられなかった携帯電話

たった一言のあなたの声を聞くため

留守電に残る、雑踏の中の声を

もうどこにもつながらない携帯電話を

繰り返し充電しては

あなたの声を聞いた

あれからもう10年が過ぎ、気づけばあなたの声を

求めていない私は

幸せなのかな 満たされているのかな 

充電されない携帯電話は、もう何もかも空っぽで

あなたの声は もう 聞こえない


夏の風景。この日々は続かないと知っていたあの日
冬の風景。もう今日までとわかっていたあの日

また、電話する

もう、電話なんてないと飲み込んだ春
些細な留守電のメッセージが、私を支えてくれた

私は今、あなたの声などなくとも
生きている

Next