「あなたはいつも元気だね」
「悩みとかないだろ笑」
「元気そうで何より」
昔からよく言われていた。
少し前まで毎回ムカついていたが
最近は、ムカつく素振りをするのはやめた。
それでいいと思った。その態度でいればいいと。
今はそれでいい。その傲慢な態度でいればいい。
いつか僕がいなくなったときに後悔すればいい。
なんで気が付かなかったんだろうと虚しくなればいい。
そして、取り返しがつかなくなったとき
自分の愚かさに打ちひしがれればいい。
それでいい。…そうするしか方法がない。
目が覚めると、大きい木の下にいた。
あなたの名前を呼んでも、返事はない。
あたりを探してもあなたはいない。
仕方がないから、少し歩いた。
もしかしたら先に起きて
私を探しに行ったかもしれないから。
かなり歩いた。てもあなたはいなかった。
困った私は、近くにいた子供に話しかけた。
聞くと、まだあなたはここに来てないと言う。
手続きをして会いに行くこともできるらしい。
少し悩んだ。
会いに行くのはもう少しあとにすることにした。
会いに行くには私じゃなくなる必要があるから。
魂はひとつ。
あなたとの思い出も1つだけのフォルダ。
私が私の状態での人生も1つだけ
去年の今日、君と話したことを思い出す。
「私、空を飛べるんだ〜」
流石に分かりやすすぎる。
「実はトマトが苦手なんだよね」
毎日僕の弁当からミニトマトを取っていくじゃないか。
「宝くじ当たって億万長者!」
1番上だけ本物で、ほかは白紙だな
「君のことが1番大切だよー」
それも嘘だな。君には好きな人がいるだろう
「見て!タトゥーいれたんだ!」
…タトゥーシールだろ…?
相変わらず嘘が下手だと笑うと
君は少し怒りながら笑っていた。
今後も、生きてる限り毎年思い出すだろう。
ちょっとした嘘が許される日。
でも他人を傷付ける噓はいけない日。
そして、飛び交う言葉が嘘だけではない日。
「幸せになってほしいと思ってるよ」
僕が今まで出会った大好きな大人たちは
皆、口を揃えて僕にそう言った。
子供ながらにして、同じようなことを
その大人たちに思っていた。思っていたけれど
子供の僕には、言う資格がないと思ったから
出かけた言葉は飲み込んだ。
「幸せでいられることを願っています」
毎日、同じスピードで時間は流れている。
一週間は7日間だし、東から日が昇って西に沈む。
今日も朝がくる。でも世界は変わらない。
君がいないこと以外は何ひとつ変わらない。
君がいない朝。
君がいない教室。
君がいない帰り道。
君がいない。
ただ、それだけ。
それ以外は何ひとつ変わらない。
学校にいる人たちは笑っているし
授業だっていつもと変わらずに進む。
いつもと同じ、なんともない日常。
泣いていた君がいないだけ。
いつも隣にいた君がいないだけ。
君がいないだけの、何気ない日常。
そんな 何気ない 日常が また 訪れる