ようやく涼しくなりましたので、ワンピースの袖を通しました。
薄く透けるシフォンの長袖に華奢な小花をあしらい、小さなボタンを足元まで留めるタイプのクラシカルなワンピースです。
私は普段はこのようなお洋服を着ることはありません。
だから、このワンピースを着たときは特別な一日にするのです。
行ったことのないカフェに入り3段プレートのアフタヌーンティーセットを頼み、お気に入りの文庫本などを読んでゆっくりとした休日を過ごすというのはなんて素敵なことなんでしょう!
次の特別な一日はどんなことをしようと計画を立てていると心が踊るようでした。
#踊るように
コツンコツン
秒針が進む音がする
私たちの命が使われていく
赤ん坊から成長し
少年時代から青年へ
長い成年時代を過ごし
老年期となり
刻まれるシワは
生きてきた年数を誇る
コツンコツン
足音が響いて
こちらに向かう
彼らの手中には鎌が握られ
私たちに終わりの時を告げる
さようなら現世
またいつか逢いましょう
お題:時を告げる
ぼくの目の前に差し出された手は真珠のように白くピンク色の爪はさくら貝のようで、とてもかわいい。
ぼくの彼女、こんなにかわいい爪を持つ手でぼくの顔に触れてくる。
頬を下に向けてなぞって唇までその貝殻の爪を差し込んできて、にこりと笑う。いつものかわいい笑顔ではなく、熱を孕み潤んだ瞳でぼくをジッと見つめながら妖しげに笑ってる。
「噛んでいいよ」
痛いだろう?と目で聞いても、構わないよと目で返される。
傷つけないようにそっと噛んだ。
海の味だった。
お題:貝殻
星が流れていきました。
その間、私は何も考えず空を見上げておりました。
あまりにも美しかったから。
私の耳にはぶつかり合う魂の音が聞こえていたのです。
目蓋をぱちりとひらめけば、もう何も見えない刹那の輝きでした。
お題:きらめき
今日は台風が近付いている影響で空がどんよりとしており、そのせいか私は一日中部屋でぐったりとしていました。
仕事は何とかこなせたものの、それ以外はまったくダメでPMSも重なりメンタルがダウンしていたのです。
このままでは陰うつとした週末になってしまうかもしれないと危機感を抱いた私は思い立って映画を見ることにしました。
お化粧もそこそこに映画館へ足を運び、その時間に上映するチケットを選びました。
その映画は少年たちが成長する姿を描いたものでした。
家族との別れ、少年たちの葛藤、友情など、いまの私には眩しくて羨ましくなるほど素敵でした。
すっかり没入してしまった私はエンディングの歌までしっかりと聞き込み、他の観客がフロアを出ていくのに倣い歩いていきました。
その間、私の心には夕暮れの色をした灯火がほんのりと灯り下降していた気分が上向きになっているのを実感しました。
ああ、やっぱり映画っていいですね。
お題:心の灯火