ににににににに

Open App
5/29/2023, 11:30:00 AM

#「ごめんね」

「ごめんってw」
そうへらりと笑って謝る所が、嫌いだった。

「もう…っ、ちゃんと謝ってよ、!」

「ごめんごめんw」
いくら言っても直らないその謝り方に、小さなため息が出る。それでも、好きだったから許せていた。
___

「ごめん」

笑いながら謝る姿が本当に嫌い。いつもとは違う笑いで謝る恋人に、怒りが募る。いつもなら許せていたものを、今だけはどうしても許せない。
恋人の遠くなっていく影を見送りながら、怒りで震える手を握りしめて手の平に爪を食い込ませる。それで、心の痛みを麻痺させるんだ。

5/28/2023, 10:42:13 AM

#半袖

「あっつー」
パタパタと服で扇ぐいるま。
「なんでお前長袖来てんの?暑くね、?」

「ううん、暑くないよ」
「タオルいる?扇風機もあるよ」
小型の持ち運び出来る扇風機をいるまに見せると、いるまは俺を崇めるように扇風機を受け取る。

「まじ神、借りるわ」

「ん、」
早速扇風機の電源をつけて涼むいるま。髪が風の方向で少し靡く。ふと、いるまが何かに気付いた様に俺に向き直る。

「ちょっと腕貸して」

「え?なんで…」
ぐいっ
差し出すのをほんの少し渋っていると腕を引かれる。いるまが俺の服の裾を捲ろうとするのが分かった。

バチンッ

「っ…、あ、ごめ…」
思わずいるまの腕を払いのけてしまった。強くやりすぎたかもしれない。

「いや…、別にいいけど…」
少し驚いたよう。あぁ、どうしようどうしようと慌てるが、いるまは先程の事を気にしていないように俺の頭に手を置く。
「無理すんなよ」

「…、うん」ニコ

あぁ、切り傷とアザで塗れた赤と青紫の腕が憎くなる。
この腕がもっと綺麗だったら、いるまが愛してくれるのを素直に受け入れてたのかな
もっといるまを愛せてたかな

5/27/2023, 10:54:59 AM

#天国と地獄

痛い
痛い痛い痛い痛い
苦しいよ、辛いよ
あぁ、いたい
お願い、許して。イタイのもう我慢できないの
お願い、許して。苦しいのもう身体中アザだらけで…

地獄みたい___。

「らん、大丈夫か?」

「ぁ、もう、終わったの…?」

「あぁ、もう今日は終わったよ」

「えへへ、いるまが良かったなら、良かった」ニコ

「あぁ、今日も可愛いな、らん」

そう言われるだけでいいの
このアザだらけで醜い身体をも愛してくれるなら

それだけでもう幸せなの

ね?そうでしょ?

5/27/2023, 9:06:26 AM

#月に願いを

「おはよう、らん」
目を開くと、黄色い瞳が映る
ゆっくりと身体を起き上がらせる
そして、目の前にいる恋人が言った言葉をくすりと笑って訂正した

「…朝じゃないでしょ?笑」

「そうだけど、起きたらおはようだろ?」
そう言われて、考える

「そうかな…、いや、うん。そうか。そうだね」
「おはよ」
にこりと表情を緩めると、頭を撫でてくれる
「今日ね、怖いの見たんだ」
撫でてくれていた手が離れた

「夢?」

「あのね、いるまが死んじゃったの」

「そっか、でも大丈夫。死んでないから安心しな」
頭から離した手をまた頭の上にのせる

「…嘘つき」
「…でも、ごめんね。そうだよね、俺のせいだもんね」
「ごめん、もうおはようって、しないと」
「おやすみなさい」

___

眩しい

「ん…」
「ぉ、はよ」

月明かりが眩しい
また、夢から覚めた
空に浮かぶ月はいるまと同じ黄色
もう、いるまに会えないのかなと思うと、いつもと同じ様に月を眺めて考えてしまう

また、いるまと逢えますように___。