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10/25/2025, 9:43:23 AM

甘く透き通る琥珀色
手に少し余る宝箱
向こうの景色は見えるのに
中身は濃く薄く曇りがかって
それを大層大切に
度々光へ翳していた

甘く透き通る琥珀色
本当に
舐めたら甘いと手の主が言う
潰してしまった鍵穴の
代わりにいつか開くかもと
譲られた鍵も大層甘く
一晩保ちはしなかった

‹秘密の箱›


「本当に一人きりになりたかったらさ、
 全部捨てて無人島にでも行くしか無いのかね」
「別にそんなことをしなくても。
 いつだってお前は独りだろ」

‹無人島に行くならば›


あまり好きじゃないの、と彼女は言う
枯れ葉を空に吹き飛ばし。
熱も骸も奪うばかりで、
何も与えられやしないのだと。
それでも好きだよ、と彼は言う
上着の裾をひるがえし。
暑を奪って寒を呼ぶ、
一時穏やかな休息を。

‹秋風🍂›


息を吸った 空が広い
きっと昔も未来も同じように
息を吐いた 心地よい風
きっと善きも悪しきも同じように
息を吸った 生きている
きっと植物も動物も同じように
息を吐いた 生きていた
きっと明日は 明日には

‹予感›

10/21/2025, 9:21:20 AM

何処まで行けば友達だろう
共に話すこと遊ぶこと?
何処までなら友達だろう
触れる温度を知らないこと?
何処でなら友達になるだろう
目を合わせて君が言う
眉根を寄せて
鏡の向こう
君[僕]が言う

‹friends›


薄い肉と這う銀糸
それでどうして強く輝くのか
茫洋な目に脆い脳みそ
それでどうして情景を描けるのか
影も形もない心
それでどうして感情に寄り添えるのか
21gを計れない魂
それでどうして心揺さぶれるのか

バラしたってわからないなら
先に言っといてほしかった

‹君が紡ぐ歌›


強い光も濃い霧も
前の見えない十二分条件
なんていうから迷わぬよう
暗く干からびさせたのに
君はまだ来ない
まだ来ない

‹光と霧の狭間で›


アナログもデジタルも何だか気に障るのだと
言った翌日に渡された
花と棒とそれと砂
年月を数えて日を数えて
あとは命を数えたら
それで十分と渡された
今更、それだけで十分と

‹砂時計の音›

10/16/2025, 1:25:09 PM

おや随分と古い物を見つけて来たね。
あぁそうだよ。昔は寝ても覚めても
星がきんきらさざめいていたものさ。
ひとは星々に名を付けては目印にしていた。
例えばほら、これはお前の名の元になった星だ。
珍しい資源が有ってね、
だからそういう名になったのさ。
ん?何でって、よくある話だよ。
星同士にも喧嘩はあるし、寿命もあった。
此処にも直した跡があるだろう?
初めの頃は直す位で済んでいたのだがね。
今じゃあこの通り、一面真っ暗ってワケさ。

‹消えた星図›

10/15/2025, 10:34:57 AM

「美人は3日で飽きるらしいけど、
 4日目のご感想は?」
「お前は美人じゃなくてイケメン系なので。
 飽きるなぞ7億年は早いわ」

‹愛 − 恋 = ?›

10/15/2025, 8:50:44 AM

「ね、名前の縁起が悪いと、縁起の良い別名を付けるんでしょう?」
「あぁまあそんなこともあるな」
「じゃあ梨の別名ってアリになるのかな」
「やめろやめろ虫食ってるみたいになる」
「酸っぱいらしいよね、アクセントに良いかも」
「想像したじゃねえかやめろっての」
「誰かいるのか?」
「……あー、……蟻?」
「お前また……友達はちゃんと吟味しろよ。
 どっかに嫁入り神隠しされても知らんぞ」
「やぁだ、笑顔で食べてくれない人なんて好みじゃないわ」
「善処善処」

‹梨›

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