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甘く透き通る琥珀色
手に少し余る宝箱
向こうの景色は見えるのに
中身は濃く薄く曇りがかって
それを大層大切に
度々光へ翳していた

甘く透き通る琥珀色
本当に
舐めたら甘いと手の主が言う
潰してしまった鍵穴の
代わりにいつか開くかもと
譲られた鍵も大層甘く
一晩保ちはしなかった

‹秘密の箱›


「本当に一人きりになりたかったらさ、
 全部捨てて無人島にでも行くしか無いのかね」
「別にそんなことをしなくても。
 いつだってお前は独りだろ」

‹無人島に行くならば›


あまり好きじゃないの、と彼女は言う
枯れ葉を空に吹き飛ばし。
熱も骸も奪うばかりで、
何も与えられやしないのだと。
それでも好きだよ、と彼は言う
上着の裾をひるがえし。
暑を奪って寒を呼ぶ、
一時穏やかな休息を。

‹秋風🍂›


息を吸った 空が広い
きっと昔も未来も同じように
息を吐いた 心地よい風
きっと善きも悪しきも同じように
息を吸った 生きている
きっと植物も動物も同じように
息を吐いた 生きていた
きっと明日は 明日には

‹予感›

10/25/2025, 9:43:23 AM