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3/23/2025, 6:34:08 AM

さようなら、と手を振った
君は焼けて来なかった
また明日、と手を振った
君は轢かれて来なかった
行ってくる、と手を振った
君は刺されて来なかった
絶対戻る、と手を振った
君は飛んで戻らなかった
いかないで、と手を掴んだ
君は困ったように笑った
君は起きて来なかった

‹bye bye…›


二人駆け回った原っぱは
大きな建物が立ちました
お墓を作った木は無くなって
タイムカプセルを埋めた場所は
高い高い塀の向こう

二人で隠した秘密基地は
誰かのお家になりました
夏を掴まえた川は無くなって
地図に隠した宝の在り処は
遠い遠い山の向こう

二人歩いた町並みは
今はどれももうありません
天の国にはあるでしょうか
君はまだ見ているでしょうか
遥か遥か空の向こう
待っていてくれるでしょうか

‹君と見た景色›


一緒に飛び降りたけど
墜ちた場所が違う
一緒に飲んだけど
毒になるものが違う
一緒に吊ったけど
体の重さが違う
一緒に一緒にいきたいけど
どうしても君をおいてしまう

‹手を繋いで›

3/20/2025, 10:01:26 AM

こちらにおいで
こちらにおいで
手招く指先が踊っている
こちらにおいで
こちらにおいで
惹かれる声が謳っている
こちらにおいで
こちらにおいで
「そこは深いよ」
こちらにおいで
「戻って来れんぞ」
こちらにおいで
「姿を見せてくれたら良いよ」
おいで
「ちゃんと名前を呼んでよ」
おいで
「だから、」
おいで
「そうじゃないといけないよ」
おいで
「分かってるでしょう?対価を出せよ」

‹どこ?›

3/18/2025, 11:54:07 AM

どれだけ言葉を重ねても
どれだけモノを重ねても
君は静かに頷いた
どれだけ時間を重ねても
どれだけ想いを重ねても
君は静かに頷いた
大切な恋人を忘れたくないと
君が静かに言ったから
大事な親友を忘れたくないと
どうしても願ってしまったから
在りし日の会話を重ね
贈り贈られた品を重ね
些細な記録も細やかに
記憶を繋いで語らった
忘れたくない人だから
失いたくない人だから
誰より愛した人だったから
面と向かって言えなかった
後悔を二人重ねていく

‹大好き›

3/18/2025, 10:12:48 AM

「わたし別に、難しい事言ってないわ」
「不可能でも非現実でも何でもない」
「理論でも実践でも出来ることよ」
「材料も時間も十二分に用意できてる」
「だから。貴方は頷くだけでいいの」
「そうしたら全部全部終わるから」
「ね、」
「赦してよ」
「貴方の為の事をさせて」
「……頷いてよ、一度でいいの」

‹叶わぬ夢›


甘い香りがした
美しい人だった
微笑み手招かれ
踏み出そうとしかけた足元が
断崖絶壁なのは知っていたし
向こう岸までの断絶が
どうしても届かない場所なのも
間違いようもなく分かってた
すぐ隣で踏み外し墜ちて逝った者も
どうにか飛ぼうと消えて逝った者も
腕引き止めようとする指の強さも
確かに知っていた分かっていた
それでも呑み込む空気の味を
目を逸らせぬ輝きを
確かに分かっていた

‹花の香りと共に›


足を止めた
先行く友が振り返った
首を振った
戻って来た友は違う道へ手を引いた
口を開いた
明るさを装い友が歌った
衝撃音
ああやはり
友が手を引いた
何処へ行こうかと手を引いた
楽しい予感もきっとあると
予知の先でも友は居た

‹心のざわめき›

3/14/2025, 11:48:44 AM

君が居ないことを知っていた
自ら隠れたことを知っていた
君が居ないことを知っていた
一人旅立ったことを知っていた
君が居ないことを知っていた
秘密を暴いたから知っていた
君が居ないことを知っていた
でもそれが
君を諦める理由にはならない

‹君を探して›

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