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3/10/2025, 3:58:19 AM

君よ死んでくれるなと
哀しく切実な祈りの声
待つ者も未来もその手に在りて
尚無為に捨てねばならぬ命

一等好きなうただった
一等好きなうただけど

身に迫る感情にならぬことを
実の経験とならぬことを
不定の先を臨みて望む

‹嗚呼›


お決まりノックはリズミカル
何処でも良いから扉を開け
大人には内緒の秘密基地
子供達だけの魔法の公園
声も性別も肌の色も
耳の形も手の数も
生まれた世界も違うけど
魔法の公園ルールは一つ
破っちゃったら永遠に

‹秘密の場所›


「お前その歌好きね」
「君にも歌ってあげようか?」
「冗談。倒せたら聞いてやるよ」
「もう。直ぐに聞かせてあげるからね」

‹ラララ›

3/6/2025, 12:04:23 PM

風が運ぶ
命を運ぶ
種を運ぶ
蝶を運ぶ
香を運ぶ
雲を運ぶ
煙を運ぶ
蝗を運ぶ
毒を運ぶ
病を運ぶ
魂を運ぶ
風が運ぶ
風が運ぶ
風が運ぶ

‹風が運ぶもの›

3/6/2025, 9:00:09 AM

「『1+1=2』って当たり前じゃない?
 でも、これが確かにそうだって証明するのは、
 すっごく大変なんだって」
「『1』が『何』で、『2』が『何』で、
 『=』はまだしも『+』って『何』って、
 そういうことを証明しないといけないんだって」
「水と氷の関係とか、ガラスの正体だってそう。
 当たり前な事ほど実際は難しかったり、
 実は異常なことだったりするんだって」
「だからこれは冗談だけど、」
「『君』って一体『誰』で『何』なんだろうね?」

‹question›


忘れないでね、待っているから
忘れていいよ、沈み切るよりも
誰もに伝えて、二度と無いように
誰にも言わないで、笑顔のままに
孤独じゃないよ、大事だったんだ
一人になって、どうか傷付かないで
立ち上がらないで、沢山泣いて良いの
立って歩いて、まだ時間は続いてる
幸せになって、せめて僕達の分
不幸にならないで、それは私達の分
生きて、生きて、最期まで生き抜いて
せめて君だけは
どうか君だけは

‹約束›


白いスカートが翻る
まだまだ冷たい水面の上
白い脚がリズムに跳ねる
砂浜消える足跡残し
夏の似合う白いワンピース
冬の海に凍えもせず
一人楽しげに踊っている
一人だけで踊っている

‹ひらり›

3/2/2025, 1:49:37 PM

乱暴に床踏み歩く音
君は静かに首を振る
片端から物壊す音
君は静かに首を振る
脅かすように言い連ねる音
君は静かに首を振る
閉ざした扉蹴りつける音
君は静かに首を振る

ブレーキサイレン物々しい気配
君は静かに首を振る
暴れ落ち高く金属音
君は静かに首を振る
喚く音が遠ざかり無事を尋ねて歩く音
君は静かに背中を押す
開いた扉の隙間に光
君は静かに背中を押す
慌ただしくも安堵の音
君は静かに背中を押す

振り返って手を伸ばす
君は静かに首を振る
一緒に出ようと訴える
君は静かに首を振る
おいきなさいと背中を押し
君は静かに手を振った

‹誰かしら?›

3/1/2025, 10:39:03 AM

そこにいくの、 と声がする
始めようか、  と声がする
もう少し頑張ろ、と声がする
休みも大事、  と声がする
あと少しだよ、 と声がする
油断禁物、   と声がする
後悔はない、  と声がする
さあ行こうか、 と声がする
ここにいるよ、 と声がする
未来の私が手招いて
此処までおいで、と声がする

‹芽吹きのとき›


腕の中が赤く熱い液に浸り
酷く熱く荒く呼吸が上がる
あの日みたいと取り憑かれたように
あの日みたいと心が冷えて
 ごぼり、と
目が開いている
そうだ違う、あの日じゃない
腕に収まらない大きな体躯も
床を擦らない短い髪も
あの日の君じゃない
あの日亡くした君じゃない!
震わせない手が鞄を漁る
今の君はまだ生きている!
あの日救えなかった私でも
きっと今なら、きっと今日なら、
君を救う、絶対に!

‹あの日の温もり›


淡色ドレスシャツふわふわスカート
長い髪にリボンとレース
色白お肌に適度な血色
きれいな瞳と細い指
うさみみ肉球素直な尻尾?

君の好きなの全部継いで
継いで継いで継いだのに
君はまだこっちを見ない
……今度は何に見惚れてるの?

‹cute!›

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