やわらかな日差しに息を吐く
体感僅かな温もりは、正しく白い霧を作った
「やれ、冬日和って奴かねぇ」
隣で燻る白い煙は、熱と毒を孕んでいた
「小春日和じゃなくって?」
諳んじた書を褒めるように、温かな手が頭に掛かる
「それは秋の話だねぇ。真冬は名前が変わるのさぁ」
薄く湿った髪は冷たく、赤い指を凍らすようで
「変なの」
積もった白を払うように逃げれば、笑い声が落ちた
「明日にゃまた大嵐だ、早うお帰り」
‹冬晴れ›
「恋人といるのが幸せな人」
「友達といるのが幸せな人」
「家族といるのが幸せな人」
「一人でいるのが幸せな人」
「そう、誰と居るかすら幸福は異なる」
「他も合わせれば更に千差万別」
「故に『万人にとっての幸福』とは」
「『不平等な不幸の積み重ね』と成り得る」
「それすら平等に均すのならば」
「其処は既に幸不幸も無い、徒の虚無に他ならない」
‹幸せとは›
「どうしたの、寝起きのまんまじゃない」
「今日は良いの、時間通りの方が大事」
「それでもちょっと整えたら?」
「良いの良いの、着飾ってもぼろぼろでも
どうせ言われる言葉は同じなんだし」
‹日の出›
「今年はね」
「今年こそは」
「今度こそ『いいひと』に」
「誰にも恨まれない人に」
「誰にも嫌われない人に」
「誰にも認識されない人に!」
‹今年の抱負›
「『新しい年』は言うけれど、
『古い年』って言わないよね」
「それはそうでしょ、時間は過ぎ行くモノ
私達が置き去りにされているだけなんだから」
‹新年›
今年までの私に別れを告げて
昨日までの私を脱ぎ捨てて
一秒前に吸い込んだ
空気と言葉でさよならしよう
‹良いお年を›
1月に1個
2月に3回
3月に10枚
4月に5本
毎月毎月頑張って
12月には50人
ちょっとはちょっとは
ちょっとはこの世も
ちょっとは綺麗になったかな
‹1年間を振り返る›
「焼き蜜柑って美味しいらしいよ」
「バナナも焼くと美味しいみたい」
「野菜も肉も焼いたら美味しい」
「じゃあきっと土も石も」
「星だって焼いたら美味しいね!」
‹みかん›
「雪が解けたら何になる?」
「水に溶けて春になる!」
「冬が去ったら何処へ行く?」
「くるっと回って地球の裏側!」
「それじゃあ冬休みが終わったら?」
「まだ宿題が終わってません!!」
‹冬休み›