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10/15/2024, 12:50:00 PM

君の瞳が好きだった
怜悧に輝く銀色が
真実を見抜く度に
鋭利に色を冷やすのが
本当に本当に好きだった
だから
「どうして」と問う名探偵に
笑って笑って向かい合う
重ねた罪状の数だけ冷えこぼれる
銀色の眼差しに刺されながら
「ごめんね。その目で見られたかったんだ!」

‹鋭い眼差し›


「天に帰るって言葉聞いた時はビビったよね」
「わっかる、やり直しかと思ったもん」
「実際やり直し食らった組居たらしいね」
「あれなあ……小さいからって辞めといて
 ほんと良かったわ…」
「やっぱり純物でないとね」
「ココ生殖体系分かれててまじ良かった!!」
「はいはーい。そろそろ時間だけど、
 皆ちゃんとサンプル回収できたー?」
「大丈夫ー!」
「それじゃあ戻ろうか。向こう着き次第
 解剖始めるから、純唯星型生物の特徴とか
 復習しておいてね」

‹高く高く›

10/14/2024, 2:24:31 AM

電話で予定を取って
待ち合わせを決めて
ちょっとだけいい服で
鞄にいっぱいゲームとお菓子
ハイタッチで挨拶して
道中でジュースを買って
親の居ない部屋に入って
日が暮れるまで散々遊ぶ
ってことが
とある一定の年齢で
外見性別が異なる組み合わせで
それだけで適当な噂の種にされるの
本当に面倒な世の中だと思う

‹子供のように›


四葉があったよと掲げれば
私も見つけたと笑う声
オレンジに焼ける空の下
白詰草の原の中
三葉、三葉、三葉。の中
見付けた五葉、見付けた六葉
凄くないと掲げた先
二つ瞬いた目がふわりと笑った
一緒に押し葉にしようねと
橙が焼く手のひらに乗せて
夕日の焦げ付く帰り道
二度と会えはしなかった

‹放課後›

10/12/2024, 6:23:35 AM

日差しを遮るレースの白
視線を遮る濃色の幕
世界を遮る髪の光沢
何も遮らず見つめ合えたら
良かったのにねと闇が遮る

‹カーテン›

10/10/2024, 10:23:21 AM

ぽろぽろぽろと涙が溢れる
何でも無いよと君は言う
少しばかり眩しくて
痛んでしまっただけだと言う

ころころころと涙が零れる
意味は無いよと君は言う
邪魔なごみがごろごろと
痛んでしまっただけだと言う

はらはらはらと涙が落ちる
理由は無いよと君は言う
思い出した物語に心が
痛んでしまっただけだと言う

犠牲に目を背けずに
糾弾に目を逸らさずに
悲哀を全て飲み込んで
英雄がひとり泣いている
私の墓で泣いている

‹涙の理由›

10/10/2024, 9:12:06 AM

休みに掛けてイベントに行ってきたのだと
同じ色ばかりのお土産を積み上げて言う
カメラロールはピカピカギラギラしていて
結構な頻度で手振れとミスショット
此処に誰がいて何を歌って
どれが美味しくておすすめがあって
話す様子があまりに楽しげで
それがなんだかいつもとても嬉しかったから
一欠片も興味のないアーティストに
いつの間にかとても詳しくなってしまう

‹ココロオドル›


超長距離を、一日掛けて歩くイベントがあった。
きょうだいは、運動系の友達と共に走り、
ペットボトルだけで午前に帰ってきたらしい。
きょうだいは、文化系の友達と共に歩き、
景色とお弁当とお菓子とお喋りを楽しみ、
間に合わなくて車で回収されたらしい。
わたしは、ひとりゆっくりマイペースに歩き
お弁当の代わりに一口のおにぎりを、
お菓子で座り込まずに立ち止まって氷砂糖を含み、
のんびり午後に帰ってきていた。
全員用意が違い、全員楽しみ方が違うから、
不思議で面白いものだなと、思った事を覚えている。

‹束の間の休息›

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