電話で予定を取って
待ち合わせを決めて
ちょっとだけいい服で
鞄にいっぱいゲームとお菓子
ハイタッチで挨拶して
道中でジュースを買って
親の居ない部屋に入って
日が暮れるまで散々遊ぶ
ってことが
とある一定の年齢で
外見性別が異なる組み合わせで
それだけで適当な噂の種にされるの
本当に面倒な世の中だと思う
‹子供のように›
四葉があったよと掲げれば
私も見つけたと笑う声
オレンジに焼ける空の下
白詰草の原の中
三葉、三葉、三葉。の中
見付けた五葉、見付けた六葉
凄くないと掲げた先
二つ瞬いた目がふわりと笑った
一緒に押し葉にしようねと
橙が焼く手のひらに乗せて
夕日の焦げ付く帰り道
二度と会えはしなかった
‹放課後›
日差しを遮るレースの白
視線を遮る濃色の幕
世界を遮る髪の光沢
何も遮らず見つめ合えたら
良かったのにねと闇が遮る
‹カーテン›
ぽろぽろぽろと涙が溢れる
何でも無いよと君は言う
少しばかり眩しくて
痛んでしまっただけだと言う
ころころころと涙が零れる
意味は無いよと君は言う
邪魔なごみがごろごろと
痛んでしまっただけだと言う
はらはらはらと涙が落ちる
理由は無いよと君は言う
思い出した物語に心が
痛んでしまっただけだと言う
犠牲に目を背けずに
糾弾に目を逸らさずに
悲哀を全て飲み込んで
英雄がひとり泣いている
私の墓で泣いている
‹涙の理由›
休みに掛けてイベントに行ってきたのだと
同じ色ばかりのお土産を積み上げて言う
カメラロールはピカピカギラギラしていて
結構な頻度で手振れとミスショット
此処に誰がいて何を歌って
どれが美味しくておすすめがあって
話す様子があまりに楽しげで
それがなんだかいつもとても嬉しかったから
一欠片も興味のないアーティストに
いつの間にかとても詳しくなってしまう
‹ココロオドル›
超長距離を、一日掛けて歩くイベントがあった。
きょうだいは、運動系の友達と共に走り、
ペットボトルだけで午前に帰ってきたらしい。
きょうだいは、文化系の友達と共に歩き、
景色とお弁当とお菓子とお喋りを楽しみ、
間に合わなくて車で回収されたらしい。
わたしは、ひとりゆっくりマイペースに歩き
お弁当の代わりに一口のおにぎりを、
お菓子で座り込まずに立ち止まって氷砂糖を含み、
のんびり午後に帰ってきていた。
全員用意が違い、全員楽しみ方が違うから、
不思議で面白いものだなと、思った事を覚えている。
‹束の間の休息›
それは例えば愛情で
それは例えば睦言で
それは例えば快楽で
それは例えば幸福であったけれど
それは事実上暴力で
それは客観的犯罪で
それは明確に苦痛で
それは赦されざる事だった
‹力を込めて›