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8/29/2024, 9:39:41 AM

玄関口に立っていた君はあの日のまま
立ち竦む躊躇いに歓迎を返した。
久々なれば机に向かい
話題は双方尽きぬもの。
子供の頃のこと、
有名人の発見、
最近の手習い、
消えた知人の行方、
楽しいか、と問えば
それなりに、とはどちらの意か。
薄ら靡く煙の香り、
お迎えかいと見上げ、
まだまだ早いよと苦笑が返る。
来年また、と君が言い。
まだ巡らないのと一つからかう。
順番はまだまだ、と君が笑い。
なればいつか、と冗談を結ぶ。
無い脚で駆けていく、
透き通った背中を見送って。

‹突然の君の訪問。›


雨に打たれていた
透明な雨に打たれていた
傘もささず
コートもなく
無防備に天を見上げて
眦を伝う透明を
首筋を這う透明を
美しく流れるまま

き、と唇が弧を描く
重たい睫毛が流し目を佩く
羨ましいかと自由を装う

意図的に口端を下げた
見つめながら目を伏せた
羨ましいよと無知を装う

コールタールの雨の中
傘に守られ
コートに包まれ
一つの飛沫も無く生きられる
耐え難い幸いの中で

強靱を装った
無垢を装った

同じ空の下
決して触れ合わぬように

‹雨に佇む›

8/27/2024, 9:59:17 AM

5年前の私は楽しんでいた
4年前の私は怒っていた
3年前の私はモヤついていた
2年前の私は頑張っていた
1年前の私は幸せだった
今年の私は

今日の、私は

‹私の日記帳›


君が手を挙げると、私も手を挙げる
君が隣を見ると、私も隣を見る
君が笑顔になると、私も笑顔になる
君の視界から外れると、
君が視界から外れたら、私は一旦消える
次に映る人を見定めて、私は形を変える

‹向かい合わせ›

8/25/2024, 7:37:11 AM

伸ばした指が優しく取られて
良かったと思う気持ちは嘘でなく
手の先が自分だけだったらと思う気持ちもまた
決して嘘ではなかった
笑顔で振られた手に応え
構えたレンズの向こう側
愛しききょうだいの門出を祝う
瞬間を一枚に記録した

‹やるせない気持ち›


お盆を過ぎたら

クラゲが出るから危ないよ
荒れがちだから危ないよ
引かれてしまうから危ないよ

お盆を過ぎたら

誰にも会えないから意味無いよ

‹海へ›

8/22/2024, 12:40:54 PM

好きの反対は嫌い、じゃなく無関心
嫌いの反対も好き、じゃなく無関心
でも無関心の反対は関心があるで、
其処に一つの感情も伴わない。
ズルいね、と栞を食む。
文字列を追う君は返事もしない。
何もかもオンリーワンに映る視界では
たった一つのナンバーワンになれやしない。

‹裏返し›


鳥みたいに
鈴みたいに
花みたいに
猫みたいに

なれたらきっと

君とは二度と会えないのだろうな

‹鳥のように›

8/21/2024, 9:42:40 AM

小指を絡めて約束しよう
爪を剥いで交換しよう
目合わす瞳を入れ替えて
終わりまでずっと繋いでいよう
また会いたいの
二人でいたいの
生まれ変わった先で分かるように
でもね
でもね
わがまま言うなら
もっと一緒にいたかったね

‹さよならを言う前に›

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